「緊張しながら食うカツ丼」再び 警察署地下食堂の味、そのままに

 カツ丼が人気だった。隠し味は警察署ならではの緊張感。「高知で一番安全な店」とも言われた。

 高知警察署の旧庁舎の「地下食堂」で約10年にわたり調理場に立ち、県警本部長から感謝状をもらった女性がいる。高知市の田内千鶴さん(61)。昨年暮れに営業を終えたが、評判のメニューでもう一度勝負しようと、署の近くに新店をオープンした。

高知署時代と同じ味で提供されているカツ丼。みそ汁、漬けもの付きで700円=2022年4月15日午後2時、高知市駅前町、蜷川大介撮影

 高知署はJR高知駅前にあり、繁華街や官庁街をエリアにもつ県内最大の所轄署だ。4月まで使った築50年のコンクリート5階建ての旧庁舎は、外壁の塗装がはがれ、廊下の床はつぎはぎだらけ。この老朽化したビルの地下1階に「高知警察署地下食堂」はあった。

50年間使用されて老朽化し、4月24日に役目を終えた高知署の旧庁舎=2022年4月12日午前11時41分、高知市北本町1丁目、蜷川大介撮影

 焼き魚定食550円、肉うどん500円、唐揚げカレー650円。30種類を超えるメニューの中でもカツ丼600円が人気だった。やわらかい豚肉を衣に包んでカリッと揚げ、卵とタマネギでとじる、つゆ多めの一品だ。

 田内さんは人気の理由を、「おいしくて食べやすかった。それとやっぱり刑事ドラマの影響やろか」。

高知署にかつてあった地下食堂。2019年2月には「高知のグルメスポット」として高知県の公式サイトで紹介された=県提供

 制服姿で外食できない警察官が昼食を取ったり、夜勤前の署員が利用したりしていた。簡素なテーブルと椅子を並べた50席ほどの食堂。営業は午前9時~午後2時、午後4時半~午後6時半。近隣住民や観光客も訪れる穴場で、計100人ほどが1日に訪れた。

安くてうまい、高知の名所

 「高知署の食堂をやらないか…

この記事は有料会員記事です。残り1259文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment