「自分たちで決まる」武蔵野市住民投票条例案否決の重圧と反対の訳

武蔵野市議会で反対の討論をする本多夏帆市議=2021年12月21日、東京都武蔵野市

 外国籍住民にも門戸を開く東京都武蔵野市住民投票条例案。反対14票、賛成11票で否決に至った21日の市議会本会議で、キャスティングボートを握ったのが、中立を掲げる2人会派だった。反対の討論で「今回勇気を持ってブレーキを踏むことを決めました」と語った本多夏帆市議が、その判断の背景を語った。

     ◇

 重圧を感じていました。自分たちで結論が決まるというのがのしかかったのは初めてで。普通は、大きな会派の動向で決まるので。

 思想信条によらない、自分たちの思いをどう打ち出すかを考えての結論でしたがどこまで伝わったかは、わかりません。

ほんだ・なつほ

1988年生まれ。武蔵野市議1期目。行政書士。カフェ付きのコワーキングスペースを市内で運営。1歳と4歳の2児の母でもある

 条例案については、今年8月の素案公表のあたりから、ネット上では話題になり始めていました。国籍の区別なく参加資格を与える点に、主には保守的な人たちが懸念を示していた。私は、その前の骨子案公表後の3月の市民意見交換会にも参加していて、ずっと動向を見てきました。

 3月の参加者は私を含めて3人だけ。明らかにコロナ禍の影響です。これはまずいと思いました。

 住民投票のようなわかりにくい制度には人が来ない傾向がありますが、コロナ禍の中で市民の関心が向いていないし、その余裕もない。私も発信しなければという思いでした。

 この場に反対の立場の人が来ていれば、もう少し違う議論になったと思うが、特に反対の声もなく、リスクを発見できなかった。

 私の会派は、もともと党派制がないので、こういうものについてはおおまかに反対するとか、もろ手を挙げて賛成するとか、ではなく、どういう風になっていくんだろうというのを注意深く見ていく。当然、市民の方に相談したりしながらです。私たちが賛成・反対と先に言ってしまうとそれにひきずられてしまうので、もろ手を挙げてこれはいいよねとかどうとか、評価を勝手にせずに市民とコミュニケーションをとることを心がけてきた。今回も同じように臨みました。

 8月の意見交換会にはネットの情報を見て来た方もいた。この状況でなぜ急ぐのかという声も出ていた。コロナ禍を理由に事業を見直して先送りしたものもあるのに、市側はそのまま進めていった。

 そして報道を契機に、外圧的に武蔵野市を否定する動きが広がった。市民全体に負の感情を向けられ、すごく嫌で、悔しかった。

後半に本多市議の反対討論の前文を掲載しています

■「私たちは置いてけぼりにさ…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment