「自由にもの言える世の中であって」阪神支局襲撃35年、各地で催し

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宮島昌英、熊谷姿慧、真常法彦 中野晃

 朝日新聞阪神支局襲撃事件から35年となった3日、市民らが兵庫県西宮市の阪神支局を訪れ、29歳で命を奪われた小尻知博記者の遺影に手を合わせた。各地で言論や表現の自由について考える催しが開かれた。

 大阪府吹田市の島晃さん(66)は電動車いすで弔問に訪れた。「ロシアの軍事侵攻が続くなかでの特別な5月3日。言論を暴力で止めることはあってはならない」と事件とウクライナ情勢を重ね合わせて話した。

 クーデターで国軍が実権を握ったミャンマー出身者も知人に誘われて訪れた。イン・スエさん(32)、ハン・ミョー・ラインさん(32)、ピェ・ピョー・ウェイさん(30)の3人。いずれも小尻記者が亡くなった年齢と近く、インさんは「やりたいことがたくさんあっただろう。小尻さんや残された家族の思いを想像すると本当に悲しい」。軍政下のミャンマーでは多くの記者が逮捕され、殺されることもあるという。ハンさんは「悪いことは悪いと言える社会を望みます」と話した。

 西宮市の福田守男さん(55)は毎年5月3日は支局を訪れる。「他者と違う意見を言いにくい世の中になっているような気がする。自由にものが言える世の中であってほしい」と話した。

 事件後から阪神尼崎駅前で開かれていた追悼行事「青空表現市」は、新型コロナウイルスの感染拡大のため昨年と一昨年は駅前での開催を見送ったが、今年は3年ぶりに行われた。メンバーが小尻記者に取材を受けたことがある「劇団らせん館」が太鼓と踊りを披露した。オンラインによる第2部では、福井県高校演劇祭で、原発を題材にした福井農林高の劇が地元ケーブルテレビで放映されなかった問題を取り上げ、言論、表現の自由について議論した。(宮島昌英、熊谷姿慧、真常法彦)

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 西宮市職員労働組合など地域の団体や個人でつくる「平和と民主主義を進める西宮・芦屋の会」は「『朝日新聞阪神支局襲撃事件』を忘れない~日本国憲法が保障する言論・表現の自由を活かそう」と題した集会を市勤労会館で開いた。

 新型コロナ対策で一昨年は中…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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