「英文法やるな」は間違い!? 夏休みの受験対策とは

 大学入試に向け、英語をどう勉強すればいいのか。駿台予備学校講師の増田悟さんに聞きました。英文法の学習が、受験には欠かせない土台だそうです。昨今は文法不要論も出ていますが、いったいなぜ?

英語学習法 「文法と語彙の重視を」

 まず、学校の授業の予習と復習をおろそかにしないことが重要です。授業で出てきた単語や熟語を全部覚えていますか? 扱った文章に真剣に取り組みましたか? 自宅で一人で習いにくいリスニングは、授業中に真剣に取り組めば受験本番の練習にもなります。

 その上で夏休みに自分で取り組むこととして、文法と語彙(ごい)の二つを挙げたいと思います。

 文法は、「英文が読めればいいので意味がない」などとして、軽視する風潮があります。学校では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能をまんべんなく扱うため、不十分になる場合もあります。進学校の高校生でも文法ができていないと感じます。ですが、文法は文系、理系、医学部など志望に関係なく重要です。理由があります。

大学受験で英文法が重要なわけ

夏休みの勉強法をまとめた大学受験企画。第4回からは教科別の勉強法。記事後半では、受験英語における文法の役割と、単語の暗記法などを解説してもらっています。

 例えば英作文。正しい文法を意識しすぎると英文が書けなくなると言われますが、それはあくまで練習の話で、入試本番ではそうはいきません。英作文の採点ではまず内容点を与えて、文法面で不正確な部分を減点していくのが一般的です。文法のミスが多いと、内容が良くても点数がもらえないのです。

 読解はどうでしょうか。英文全体の意味を大まかに把握しながら、速く多く読む練習も必要です。しかし入試の目的は大学で学問をする力を測ることですから、内容が抽象的で論理的な文章を理解する能力が問われます。そのような文章を読解するには、一文ごとに文法や文の構造を意識しながら正確に意味を取っていく作業が重要です。

 文法を学ぶときは、解説が書いてある参考書を読んだうえで問題集を解くのが理想です。個別の知識の丸暗記だけでは応用がきかないので、一般化して人に説明できるぐらいに理解する必要があります。既習か未習かは気にせず、夏休みに全て終わらせるつもりで取り組みましょう。

単語の勉強に近道なし ひたすら繰り返せ

 次に語彙です。単語学習に近道はありません。文章を読みながら覚えるのには限界があり、やはり単語帳はあった方がいいでしょう。暗記はしんどい作業ですが、紙に書いたり音声で聞いたりテストしたりと、様々な方法があります。初日に100語やったら翌日は次の100語に加えて前日の復習といった具合に、ひたすら繰り返しましょう。

 単語や文法に比べると、読解や英作文は一人での学習が難しい分野です。学校でも予備校でも解説動画でもいいので、自分に必要なものを可能な範囲で活用した方がいい。分からないところを質問して直接教えてもらえる環境があるのが望ましいですね。

 さらに、定期的に模擬試験を受けることが重要です。「英語は7割とろう」「偏差値60を目指そう」といった中期目標が立てやすいし、丁寧に復習することで力がつくからです。上手に活用してほしいと思います。(聞き手・高浜行人)

 ますだ・さとる 駿台予備学校英語科講師。高1から入試対策まで主に読解問題系の講座を担当し、主要模試の作成に携わる。東大の過去問解説や予想問題の執筆も。高校への出張講座の経験が豊富。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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