「親から逃げたい」神待ち掲示板に助けを求めた19歳 自立へ踏み出すも…再び“壁”(西日本新聞)

復刻連載【19歳の地図】

 西日本新聞「あなたの特命取材班」に、母親から精神的暴力を受けているとLINEを送ってきた19歳のヒカル(仮名・敬称略)。記者の私(28)が初めて会ったのは11月中旬だった。世間は、家出を考えた少女がSNSで知り合った男に誘拐された事件の話題で持ちきりだった。「女の子の気持ちが分かるんです」。小さな声でつぶやいた。 【写真】雑踏の中に立つ19歳のヒカル  「福岡在住。親から逃げたい。誰か泊めてください」  6月。ヒカルは母の言葉の暴力に耐えられず、インターネット上の「神待ち掲示板」に書き込んだ。家出をした女性に泊まる場所や食事を提供する「神様」との出会いを求める人たちが集う場。フリーのメールアドレスも書き込んだ。  危ないことだ、とよく分かっていた。でも、体調を崩して専門学校をやめていたので働けず、家を出て自立する資金もなかった。普通の方法ではこの環境からすぐには抜け出せない。  「もし出会った人に殺されてしまっても、今の生活を続けるよりはまし」。そんな自暴自棄に似た考えばかりが頭を巡った。  返信はなかった。  「助けてほしいという気持ちの方が勝ってしまう人たちのことはよく分かる。運が悪ければ、私だって、あの女の子のように」

◆部屋探し 再び「19歳の壁」

 ヒカルは注意欠陥多動性障害(ADHD)と双極性障害(そううつ病)がある。目を合わせて話すのは苦手なようだが、受け答えはしっかりしていた。  「治療薬のおかげで、人とのコミュニケーションが少しだけ楽になりました」。事前に伝えた質問内容をもとに、スマートフォンで丁寧なメモを作っていた。見ながら話すと会話がしやすいという。  神待ち掲示板への書き込みの後、専門医の診断を受け、治療を始めた。精神的に落ち着いたので、1人暮らしの資金をためようと、7月からアルバイトを始めた。週に3~5日のペースで、昼から深夜まで働く。将来の部屋探しのため、不動産店にも行き始めた。  ここでまた「19歳の壁」にぶつかった。結婚していない未成年なので、物件の契約に親の同意書が必要という。仮に誕生日が来て成人しても、連帯保証人が必要だ。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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