「豊穣の海」にやってくるオスプレイ 振り回されるノリ漁師の無念さ

 長崎、佐賀、福岡、熊本の4県に囲まれた有明海は、「豊穣(ほうじょう)の海」と呼ばれる。

 水深が平均で約20メートルしかない浅い海は広大で栄養豊富な干潟を生み、秋から春にかけて、日本一のノリ漁場が広がる。

 その漁場に面した佐賀空港の隣に陸上自衛隊駐屯地をつくり、オスプレイを配備する――。

 防衛省のそんな計画が持ち上がったのは、9年前だった。

 駐屯地は、かつては海だった干拓地につくられる。農地約30ヘクタールがコンクリートで固められ、ここから排水が海に流れ込めば、栄養塩などの水質が変わり、ノリ漁に影響するのではないか。

 防衛省は説得のため、何度か説明会を開いたが、漁師たちの不安と反発の声は尽きなかった。

 そんな漁師たちのなかで、駐屯地建設予定地の地権者の一人である古賀初次さん(74)は、反対運動の先頭に立ってきた。

 母方の祖父は、ノリ養殖を地元に持ち込んだ先達だ。その誇りを胸に、半世紀にわたりノリ養殖を営み、海の恵みとともに暮らしてきた。

 防衛省の説明はどうしても、納得できない。

 約250人いる地権者のうち、計画に反対する「有志の会」の代表として「土地は売らない」と言い続けてきた。

相次ぐ公共工事、有明の海が変わった…

 古賀さんが強く反発し続けた理由の背景にあるのが、漁師としてずっと、国による大型の公共工事に振り回されてきたことだ。

 駐屯地の予定地になっている…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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