「逃げらんねえベ!」 女川原発訴訟で敗訴の原告ら、地裁判決を批判

 東北電力が再稼働をめざす女川原発2号機(宮城県女川町石巻市)の重大事故に備えた避難計画には実効性がないとして、住民が運転差し止めを求めた訴訟の判決が24日、仙台地裁であった。斉藤充洋裁判長は「事故が起こる具体的な危険について主張、立証されていない」として請求を棄却した。避難計画の実効性を巡る判断はしなかった。住民側は控訴する方針。

 原告は、原発から5~30キロ圏内の「緊急防護措置を準備する区域(UPZ)」に住む石巻市民17人。東北電が再稼働をめざす2024年2月の前に判決を得ようと、県や市が策定し、国に了承された避難計画の実効性に争点を絞って21年5月に提訴した。「計画には交通渋滞への対応などに不備があり、原告らの人格権が侵害される具体的な危険がある」などと訴えていた。

 判決は、再稼働によって事故が起こることが原告側の主張の前提になるが、事故が起こる危険について具体的な主張、立証をしていないため、前提を欠くと指摘。想定を超えた自然災害などにより、事故が起こる危険性を完全には否定できないが、そうした危険性は「抽象的なものと言わざるをえない」と判断した。

 そのうえで、5段階の独立した安全対策で放射線リスクから人を守る「深層防護」という考え方を踏まえても、最後のレベル5にあたる避難計画の不備だけを理由に「直ちに原告らに人格権侵害の具体的危険があるとは認められない」と結論づけた。

 判決後、原伸雄・原告団長は「東京電力福島第一原発事故の最大の教訓は安全神話に浸っていたこと。裁判所が安全神話に浸り『事故は起こらない』とし、残念、無念だ」と述べた。

 日本原子力発電東海第二原発茨城県東海村)を巡る21年3月の水戸地裁判決は、避難計画を作っていない周辺自治体があることなどから、レベル4までに欠落や不十分な点はないが、最終段階が欠けるとして、運転差し止めを命じた。東京高裁で係争している。

判決要旨の読み上げ「3分」 傍聴席から怒号

 「逃げらんねえべ!」「どうやって逃げろって言うんだ!」

 午前11時すぎ、斉藤充洋裁判長が判決要旨を3分ほどで読み終えると、仙台地裁101号法廷の傍聴席を埋めた支援者らから怒号が飛んだ。

 原告副団長の佐藤清吾さん(…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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