三沢敦
長崎の秋の風物詩「長崎くんち」で知られる諏訪神社(長崎市上西山町)の70代男性宮司がセクハラ行為をした疑いがあるとして、神社の責任役員らが辞任を求めていることが分かった。被害者の代理人弁護士らは「宮司の言動はセクハラにあたる」と主張。一方、宮司は「そのような事実はありません」とするコメントを発表している。
代理人らによると、セクハラの疑いが持たれる行為があったのは8月20日。神社内で市内の20代女性の手を引き寄せて顔を近づけ、握手やキスを求め、マスクを外そうとしたという。
女性は翌日、神社側に相談。9月1日に補佐役の禰宜(ねぎ)2人が宮司に聴取をした。その結果を踏まえ、「不適切な行為が行われた可能性がある」として責任役員2人、禰宜2人が連名で辞任を求める意見書を7日付で本人に提出した。今月4日には県神社庁の求めに応じ、聴取時の録音データなどの資料を提出している。
宮司を除いて6人いる責任役員と13人の常任総代の多くは、「大きな社会問題であり、神社の権威に関わる」として長崎くんちの主要神事である8日の例大祭には参列しない意向を示しているという。
5日に記者会見した青野悠弁護士は「女性の説明は詳細であり、宮司の言動は明らかにセクハラだ。損害賠償が発生する不法行為だと考えている。今後の対応については女性らと相談し検討したい」と話した。
一方、宮司は4日、神社関係者に宛てた文書を公表し、「真実ではない」と行為を否定。「(勇退勧告は)私を排除したい意向の部内者2人が責任役員に働きかけた結果」と主張し、「今後私はあらゆる機会を通じ、身の潔白を主張するとともに、宮司職に励む」としている。
長崎くんちは、江戸時代から387年の歴史を誇る同神社の秋の大祭。旧長崎市街の各町(踊町〈おどりちょう〉)が7年に1度回ってくる当番の年に、各町に伝わる自慢の演(だ)し物を奉納。県内外からの見物客でにぎわう。例年10月7~9日に行われるが、コロナの感染拡大を受け、例大祭などを除き、奉納踊や神輿(みこし)行列の中止が昨年に続き決定している。(三沢敦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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