「障害者アート」を越えて アール・ブリュットの6人展

 専門の美術教育を受けていない人による「生(き)の芸術」を意味し、日本では知的障害者の作品が紹介されがちな「アール・ブリュット」。滋賀県のボーダレス・アートミュージアムNO-MAの企画展はそんな従来の枠組みを越え、制作背景も表現もさまざまな国内外の6作家に注目する。

 中国出身の汪化(ワンフア)は美術大学のカフェテリアで働いていた時、独学で描いていた絵が学生の目に触れたことをきっかけに注目を集めた。出展作「Ten Doors No.7」は、30メートルのロール紙を使ったドローイング・シリーズのうちの1点。抽象的な帯状のイメージがうねり、重なり合いながら画面を端から埋めてゆき、その緩急は長く壮大な音楽を連想させる。

 一方、タイのスパラーク・サンサイの名が知られたのは作家の死後。トランスジェンダーだったことで周囲に理解されなかったサンサイが繰り返し描いたミス・コンテストの勝者たちは、まつげや唇といった女性性のシンボルが誇張され、たすきに書かれた国名の多様さとは裏腹に、判で押したような笑顔を見せる。

 コピー機に自身の顔を押しつけ…


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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