「頂き女子」の詐取金受け取り、元ホストの初公判 司法判断に注目

渡辺杏果 国方萌乃

 「頂き女子りりちゃん」を巡る詐欺事件に絡んで、ホストクラブへの支払い代の原資が詐取金だと知りながら受領したとして組織犯罪処罰法違反などの罪に問われた元ホスト田中裕志被告(26)の初公判が22日、名古屋地裁であった。田中被告は起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、田中被告は2021年3月ごろ、勤務先の新宿・歌舞伎町のホストクラブで、SNSで「頂き女子」を自称していた渡辺真衣被告(25)=詐欺などの罪で公判中=と知り合い、その後も指名されて接客していたと指摘。その際に渡辺被告から収入源は「パパ活」で、それは詐欺だとの説明を受けていたとした。

 起訴状によると、田中被告は21年10月1日ごろ、ホストクラブの責任者の男(34)と共謀し、渡辺被告が男性からだまし取った犯罪収益だと知りながら、飲食代として909万円を受け取ったとされる。

 渡辺被告は3人の男性から1億円以上をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われている。(渡辺杏果、国方萌乃)

組織犯罪処罰法を適用 ホスト問題切り込む試金石になるか

 ホストクラブへの高額な支払いや売掛金(ツケ)が女性客の売春などを誘発していると指摘されている。警察はこれまで、売春防止法違反容疑で女性側を摘発する一方、売春などを「強要」「あっせん」したとしてホスト側も摘発してきた。ただ、多額の飲食代を受け取る行為そのものについて刑事責任を追及するのは難しいとされてきた。

 そんな中、愛知県警が田中被告に適用したのは組織犯罪処罰法だ。渡辺被告が支払った飲食代が「犯罪収益の移転」とみなせると判断した。その代金を調達した事情を認識していれば、支払いの原資の違法性についてホスト側にも責任を問うた形だ。

 今回の事件で、ホスト側に支払われた飲食代が渡辺被告による詐取金だと検察がどう立証し、判決がどう判断するのか。結果次第では、捜査機関が「ホスト問題」に切り込む新たな武器になる試金石になり得る。(国方萌乃)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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