「頑張ったと言っていいですか」 コロナ下で中退を「選択」したワケ

 頑張ったと言っていいですか――。親に頼らず大学生活を送ってきたものの、コロナ下でバイトがなくなり中退を選択した若者の言葉です。低所得世帯向けの支援策は拡充されていますが、学びの機会を諦めざるを得ない若者も多くいます。学びたい気持ちを支えるにはどうすればよいのか考えます。(才本淳子)

向き合った両親 楽ではないのが分かった

 「仕送りきついよね?」。関東地方の国立大学工学部に通う男性(23)は、全国で新型コロナの感染者数が過去最多を更新し続けた8月、実家に帰省して両親と向き合った。「大丈夫だよ」。そんな答えを少し、期待した。しかし、両親からはっきりとした答えは聞けなかった。

 3兄弟の真ん中。弟は高校3年生で大学受験を控えている。両親の顔を見れば楽ではないのが、わかった。

 学費は貸与型奨学金で、生活費はアルバイトでまかなう約束をして2017年に入学。ひとり暮らしを始めた。新生活のための家電や最初の1、2カ月の生活費は、両親から援助してもらったものの、コロナ前まで、仕送りに一切頼らず、学費も生活費も月約5万円の奨学金と約8万円のアルバイト代でまかなってきた。バイト代は年収103万円を超えると親の扶養から外れ、親の税負担が増える。それを超えないギリギリのラインで働いた。

 生活は切り詰めた。家賃は3…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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