【そもそも解説】再審可否の決定が出る「日野町事件」 自白の評価は

 1984年に起きた「日野町事件」で、大阪高裁(石川恭司裁判長)は27日、裁判のやり直し(再審)を認めるかどうかの決定を出すことになりました。強盗殺人罪で無期懲役判決が確定した阪原弘・元被告は服役中に75歳で死亡したため、遺族が「死後再審」を求めています。何が争われているのでしょうか。これまでの司法判断を含めて解説します。

 Q どんな事件なのでしょうか。

 A 滋賀県日野町で84年12月、酒店経営の女性が行方不明になりました。翌年1月に遺体が、3カ月後に店の金庫が町内の別々の場所で見つかりました。県警は88年、店の常連だった元被告に任意で事情を聴いたところ、女性を殺害して金庫を奪ったと自白したため、強盗殺人容疑で逮捕しました。

 Q 裁判の結果は?

 A 元被告は公判では無罪を訴え、自白したのは「取り調べで警察官から暴行や暴言を受けたためだ」と主張しました。しかし、大津地裁は95年、無期懲役を言い渡しました。自白は信用できないものの、元被告が警察による「引き当て捜査」で遺体の遺棄現場や金庫の発見現場に警察官を案内できた間接事実などから有罪としました。

 大阪高裁は「間接事実だけでは元被告を犯行と結びつけられない」とした一方、自白について「根幹部分は十分信用できる」として元被告側の控訴を棄却しました。

 地裁と高裁は、自白と間接事実の証拠の評価は違うものの、「有罪」という同じ結論を導き、最高裁も支持。2000年に有罪が確定しました。

 Q 「死後再審」とは?

 A 刑事訴訟法は、有罪判決…

この記事は有料記事です。残り1115文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment