【速報中】「核なき世界の実現を」灯籠に願い込め 広島被爆78年

 広島は6日、被爆78年の「原爆の日」を迎えました。原爆投下時刻の午前8時15分に合わせて開かれた平和記念式典には、原爆で亡くなった人たちの遺族や、地元選出の岸田文雄首相らが参列しました。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まっている上、5月の主要7カ国(G7)広島サミットで「核抑止」の維持が正当化される中、被爆者らは「核兵器なき世界」の実現をこれまで以上に強く求めています。5日から6日にかけての出来事を速報しています。

■■■8月6日(日本時間)■■■

19:30

写真家や音楽家らがトーク&ライブ 「原爆の日」に感じたことを振り返る

 平和記念公園の近くにあるカフェ「ハチドリ舎」で、写真家や音楽家らによるトーク&ライブがあり、今年の「原爆の日」をどう過ごしたか振り返った。

 那覇市に住む写真家の高橋健太郎さん(33)は6日午前0~6時半ごろ、公園周辺を撮影して回った。「人がいない風景や事物から、広島に堆積(たいせき)されてきたものを想像したい」と、平和記念式典で空に放たれるのを待つハトや夜中に脱皮するセミなどにレンズを向けた。原爆ドーム近くの川沿いにたたずむアオサギを撮った時、「自分がどう生きていくか問われている気がした」という。

 毎年、被爆地で演奏しているバンド「FUNKIST(ファンキスト)」ボーカルの染谷西郷(さいごう)さん(44)は式典の会場外で、それぞれの立場からデモで声を上げる人たちの姿を見た。人々が「衝突」する中、小学生が「平和への誓い」で「平和」について、「悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること」と話すのを聞き、「子どもから大人に突きつけられている」と感じたという。

19:15

子どもら60人が平和祈り合唱 「はだしのゲン」作者が残した歌

 夕暮れの空の下、原爆ドームや平和記念公園を一望できる「おりづるタワー」(広島市中区)の展望台で、子どもら60人が平和を祈って合唱した。

 歌ったのは、漫画「はだしのゲン」の作者・故中沢啓治さんが晩年に書き残した「広島愛の川」。漫画のでは、被爆し焼けただれた人が飛び込んで地獄のように描かれた川だったが、詩では「愛の川」と表現され、次世代に優しさを残そうと歌っている。

 今年で歌って3年目になるという小学5年の惣田直(すなお)さん(10)は「今も戦争しているロシアにも届くように、世界が平和になるように歌いました」。

19:00

広島へ避難のウクライナ人女性が歌声 「あなたに逢いたくて」

 原爆犠牲者を追悼する「とうろう流し」が行われている広島市元安川のそばで「平和の祈りコンサート」が開かれた。ロシアによる軍事侵攻から逃れ、広島へ避難しているウクライナ人女性のヤナ・ヤノブスカさん(41)が故郷を思って歌声を響かせた。

 会場は元安川沿いのレストラン「かき船かなわ」。毎年8月6日夜にコンサートを企画しており、今年はヤノブスカさんを招いた。

 首都キーウ出身のヤノブスカさんは学生時代に音楽を学び、現地のレストランなどで歌声を披露してきた。昨年4月に娘のゾリアナ・ヒブリチさん(20)と避難してきたが、家族が現地に残っている。コンサートでは、故郷の平和を願ってウクライナ民謡のほか、松田聖子さんの「あなたに逢(あ)いたくて」を日本語で歌った。離れた人を恋しく思う歌詞がヤノブスカさんの思いと重なり、会場から盛んな拍手が送られた。

18:00

世界平和を願う灯ろう流し 原爆ドーム前の元安川で

 広島市中区の原爆ドーム前の元安川で、原爆犠牲者を慰霊し、世界平和を願う灯籠(とうろう)流しがあった。

 78年前、被爆した人々が水を求めて飛び込んだという川面に色鮮やかな灯籠が浮かんだ。「核兵器のない世界の実現を」「争いの無い世界に」などのメッセージが記された灯籠が流れるのを川沿いを埋めた人々が見守り、平和への思いを共有した。

 広島市の吉本照子さん(80)は帰省中の孫の天野恵太さん(9)=兵庫県姫路市=を初めて連れてきた。吉本さんは疎開中だったが、親類が犠牲になった。「やっぱりあの日は忘れてはいけません」と照子さん。「世界のみんなが平和に暮らせますように」と書いた恵太さんは「ウクライナの人たちを思いました」と話した。

18:00

 広島市南区マツダスタジアムで、核兵器のない平和な世界を祈る試合「ピースナイター」が始まった。

 スコアボード上には半旗が掲げられ、試合前には広島東洋カープ読売ジャイアンツの選手たちや観客らが脱帽し、黙禱(もくとう)をささげた。始球式では、広島県生まれのシンガー・ソングライターで、カクワカ広島(核政策を知りたい広島若者有権者の会)のメンバー、瀬戸麻由さん(32)がマウンドに立った。

16:00

絵本「さいごのあさごはん」 高校生による英語朗読会

 広島市立舟入高校国際コミュニケーションコースの2年生が、絵本「さいごのあさごはん」の英語朗読会を広島国際会議場(中区)で開いた。故・小野英子さんの著書「炎のメモワール」を、長野県池田町の絵本作家・三枝三七子さんが絵本化し、生徒が英語に翻訳した。

 同コースの7人が順番に朗読。約70人が聴き入った。舞台に立った2年、岡田蓮さんは「朗読は初めてなので緊張しましたが、心を込めて読みました。自分が担当した部分は、精神的に不安定になる部分だったので、戦争で普通でなくなる怖さを感じました」と話していた。

 作者の三枝さんも舞台に立ち、原作や小野さんとの思い出を語った。終了後に「皆さんが、よく考えて訳されたことがわかりました。とても迫力のある朗読でした。生き残った者が、それを後悔するのが戦争だということが、伝わっていてほしいと思います」と語った。

15:50

広島市まんが図書館、戦争を題材にした作品を展示

 広島市まんが図書館(同市南区)では、戦争などを題材にした漫画を特集する展示会が開かれている。中沢啓治さんが自身の被爆体験をもとにして描いた「はだしのゲン」、呉などが舞台の「この世界の片隅に」など、広島ゆかりの作品もそろえる。

 館長の高森正治(しょうじ)さん(62)は広島県江田島市出身。12歳の時に「はだしのゲン」を読み、「これが本当に広島の話なのか」と原爆の悲惨さに衝撃を受けた。原爆投下から78年が経っても、「はだしのゲン」はよく貸し出されており、来館する外国人の観光客が翻訳版を読む姿も目立つという。

 高森さんは「漫画は歴史を伝えるツール。この展示を、戦争に巻きこまれた市民について考えるきっかけにして欲しい」と話す。展示は8月31日まで。

15:30

「原爆小頭症を知って」 きのこ会事務局長が講演

 核と原発の廃絶を考えるシンポジウム「8・6ヒロシマ平和の夕べ」が広島市中区であった。母の胎内で被爆し、脳に障害を負って生まれた原爆小頭症被爆者と家族らでつくる「きのこ会」の事務局長、平尾直政さん(59)が講演し、被爆者と家族が受けてきた苦難を振り返った。

 頭が小さいことが特徴の原爆小頭症は長く公表されることはなく、原爆症認定を受けたのは1967年だった。「胎内被爆者だが、被爆2世と誤解されることもあり、本人や家族は偏見や差別にさらされ続けた」。平尾さんは、知的障害を理由にきょうだいの婚約が破談したり、家族が離別したりした亡き被爆者たちの事例を紹介した。

 原爆小頭症の存在が原爆の罪を伝える力があると感じるが、現在存命なのは12人。「このままでは原爆小頭症の被爆者はいないことになってしまう」。体験を語り続けていくことが重要だと語った。

15:30

各国首脳が植えた被爆桜に思いをはせるデンマーク

 「78年前の戦争の記憶が、こんな風に残っているなんて」。デンマークから旅行で訪れていたアダム・セナンさん(20)は、5月に開かれたG7広島サミットで、各国首脳が平和記念公園に植樹した被爆桜の前で足を止めた。サミット後に設置された説明板を見て「惨禍を忘れないためにも植樹は意義あるプログラムだったのでは」と話す。

 広島市役所の敷地内で花を咲かせる被爆桜(ソメイヨシノ)から「接ぎ木」をして植樹された。被爆桜は、原爆投下時に多くの被爆者が木の下に体を横たえたと伝わる。

 姉のアイラさん(26)は「戦争の関係国のリーダーたちが集まって、広島で植樹をしたことに価値がある。平和を象徴しているようですね」と話した。「きょう広島に来られて、特別な1日になりました」

15:00

「長崎の証言の会」編集長が講演 「『被爆地に来て』と言うだけでよいのか」

 世界の核被害を学ぶ講演会が…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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