おじいちゃんがプリカ3万円? コンビニ店員は気づいた

 おじいちゃんが3万円分のプリカ? 珍しいけど、おかしいんとちゃう――。コンビニ店員の洞察力と機転が、特殊詐欺にひっかかりつつある高齢者を救った。

 4月30日。大阪市住之江区の70代男性は自宅でパソコンを開き、ネットサーフィンをしていた。すると突然、「ウイルスに感染しました」との表示が画面に現れた。

 「対処先」の番号に電話を掛けると、IT大手「グーグル」の社員を名乗る男が出た。口調は「ごく普通のサラリーマン風」。復旧にはグーグルの3万円分のプリペイドカードが必要だと言われた。

 「詐欺ちゃうか」。男性は一瞬戸惑った。だが、ニュースで見聞きする数百万、数千万円といった特殊詐欺の被害額と比べれば、3万円は少なすぎると感じた。

 「今の時代、こんな低額で詐欺するもんはおらんやろ」。大丈夫だと自分に言い聞かせ、指定されたプリペイドカードを買いに、近所のコンビニ「デイリーヤマザキ住之江公園駅前店」を訪れた。

 一方、この男性にレジで応対した男性店員(32)は、3万円分のプリペイドカードを求められた瞬間、違和感を覚えた。

 「3万円分を買う人はめったにいない。しかもおじいちゃんが。おかしい……」

 使い道を尋ねると、「パソコンのウイルスを直すために必要らしい」と言う。「画面に表示された番号に電話すると、プリペイドカードを買うよう指示された」とも。

 店員は、同じような誘い文句で高額のプリペイドカードを買うよう繰り返し要求され、金を次々とだまし取られるトラブルが各地で起きていることを知っていた。

 そして今、目の前の客がそのような特殊詐欺にひっかかろうとしている――。

 すぐに大阪府警住之江署に通報し、警察官が到着するまでの間、戸惑う男性を「パソコンに詳しい人が来ますから」となだめた。

 結局、男性はプリペイドカードを買わず、警察官に付き添われて帰っていった。その後、警察官は男性宅を訪れ、電話口の「グーグル社員」に事情を聴こうと問い詰めたが、まもなく切れてしまったという。

 住之江署は今月1日、特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、デイリーヤマザキ住之江公園駅前店に感謝状を贈った。

 店を代表して感謝状を受け取った広地(ひろち)真由美店長(45)は「詐欺の防止はコンビニの社会貢献の一つ。これからも当たり前のこととして意識していきたい」と話した。(華野優気)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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