お役御免のオス「かなた」故郷にかえる 新たな使命とは

 野生では100頭ほどまで減ったツシマヤマネコは、各地の動物園で増やす取り組みが進む絶滅危惧種だ。ゾウやキリンに比べて動物園では地味な印象もあるが、身近な自然保護や生態系の維持を来園者に伝えることも大切な役割になっている。

 海のかなたから、興味を持った人が多く来てほしい――。長崎県の離島、対馬にある対馬野生生物保護センター。2頭いるツシマヤマネコのうち、オスの「かなた」の名前には、そんな意味が込められている。

 ツシマヤマネコは対馬だけに生息する野生のネコ。朝鮮半島と陸続きだった約10万年前に渡ってきたとされる。耳の後ろの白い斑点や額の縦じま、太いしっぽなどに特徴がある。

 生息数の減少は、開発などによる生息環境の悪化やイエネコ由来の病気などが原因とされる。さらに昨年度は、少なくとも7頭が交通事故で死亡。環境省のレッドリストでは、哺乳類ではジュゴンやラッコとともに「最も絶滅の恐れが高い」とされる12種の一つに位置づけられている。

 絶滅を防ぐため、動物園での飼育が始まったのは1996年。最初は福岡市動物園だけだったが、現在は全国8カ所の動物園などに26頭(7月時点)がいる。これまでの飼育下での繁殖数は69頭になるという。

 対馬の保護センターにいる「かなた」も、福岡市動物園で生まれた。成長して繁殖にも参加していたが、うまくいかなかったことなどの理由でお役ご免に。昨秋、啓発活動で展示するため初めて「故郷」の地を踏んだ。いつもはガラス張りの展示室にいる。人への警戒心が強く、日中は隠れた高い場所で寝ていることが多いというが、その生態や保護を来館者に伝えるのが仕事になっている。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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