がん治療薬の効きやすさ、血液で予測 京大チームが成功

 肺がん患者の血液を調べ、治療薬「オプジーボ」が効きやすいかどうか調べることに、京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授らのチームが成功した。薬が効きにくい患者に別の治療を早く提案したり、医療費を削減したりできるようになると期待される。研究成果は30日、米科学誌に掲載された。

 オプジーボは免疫の力を利用して、がん細胞を攻撃する治療薬。本庶さんは薬の開発につながる研究が評価され、2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した。ただ、薬は半数以上の患者では効きにくく、理由がわかっていなかった。

 研究チームは、肺がん患者54人からオプジーボの投与前後の血液を採取し、薬が効いた人と効かなかった人で、血中の細胞の状態や代謝物質の量がどう違うか調べた。すると、白血球の一種「T細胞」の状態を比べることで、薬が効きやすい患者をこれまでよりも高い精度で予測できた。

 目印になるのは、免疫反応の司令塔タイプのT細胞の割合が投与後に高くなったかどうかなど4項目。投与前後の比較が必要で、投与前の血液だけではまだ判断できないが、これまで効くかわかるまで3カ月かかっていたのが、投与から2週間で判断できるため、早く別の治療を提案できる。オプジーボの薬価は現在、100ミリグラムあたり約17万円で、当初の約4分の1になったとはいえ、高価な薬だ。オプジーボや同様の機能を持つ治療薬「キイトルーダ」への効きやすさの目印を探す研究は、肺以外のがんでも始まっている。

 論文はhttp://doi.org/10.1172/jci.insight.133501で読める。(後藤一也)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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