ご神木倒れても奉納の剣は無傷 「奇跡の後にまた奇跡」

 推定樹齢1200~1300年とされる大杉が倒れた岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町の大湫神明神社で16日、大杉の下敷きとなり、押しつぶされた蔵の中から、地元の彫刻家が奉納した「剣」がほぼ無傷で見つかった。地域では、倒木でけが人が出なかったことに続く「奇跡」に、喜びの声が上がった。

 見つかったのは、同町在住の彫刻家、天野裕夫(ひろお)さん(66)が2013年に大杉の枝で作って奉納した、木の剣。この日、神社の片付けに駆けつけていた天野さんは、剣を手にして「地域や僕の気持ちの勇気づけになる。そりゃあ、うれしい」とほおを緩めた。剣は自ら汚れを落とした後、復旧した神社に改めて奉納するという。

 天野さんは作品を奉納した2013年当時、相模原市にアトリエを構えていた。しかし大湫町に住む父親から、雷の被害を受けて、樹勢を回復するために大杉の枝を一部伐採すると聞いた。

 それまでは作品に使うのは、焼き物やブロンズ、石、ガラスで、木の彫刻はしていなかったが、「僕もこの木を見ながら育った。作品に生かしたい」。大杉の枝を素材に制作した第一号が、この剣だった。

 大杉は地域の人々に「ご神木」として親しまれてきたが、大雨の影響で倒れたとみられる。大湫町コミュニティ推進協議会の三戸憲和副会長(68)は「ご神木の大杉は倒れても、誰一人けがをさせなかった。身代わりになってくれたのだろう。すべてが奇跡だと思っていたら、また奇跡が起きた。再起に向かって、町民一丸になって、取り組んでいける」と話した。(戸村登)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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