しびれ切らした店が再開 「宣言解除の基準見えない」

 緊急事態宣言から1カ月を迎えた7日。東京都内では、都からの休業や営業短縮の要請が続くなか、多くのお店が再開に動き出した。都内各地で、多くの人たちが日常を取り戻そうと模索している。

 「感染者も減りつつあるし、『少しだけで良いから遊びたい』という声が多いから」。東京・新宿の雑居ビルにあるダーツバーは7日、営業再開に踏み切った。バーは、緊急事態宣言に伴う都の休業要請対象の業種だが、30代の店長は「閉じていても家賃を払わないといけない」と話す。

 4月の休業中、客同士が距離をとれるように床にテープを貼ったり、消毒液の準備をしたりしてきた。感染拡大のリスクも考え、営業はほかの飲食店と同様の午後8時まで。「日常に近づけるようにしたい」

 同じ西新宿の居酒屋では7日昼、常連客がランチのハンバーグ定食を頼んでいた。緊急事態宣言を受けて自主的に休業していたが、この日から午後8時までの営業を再開し、ランチとテイクアウトも始めた。40代の店主は「やっぱり、店にお客さんがいるのはいいですね」。

公的支援足りず「生き残っていけない」

 休業や営業短縮への都からの協力金の50万円だけでは、家賃もまかなえない。宣言が延長され、このまま休業を続ければ「自分もアルバイトの生活も壊れてしまう」と判断した。「どういう基準で宣言が解除されるかも見えない。再開したほうが楽だ」

 東京・新橋の焼き鳥店「烏森 きたがわ」も7日に店を再開。昼の飲み放題にも対応し、冷ややっこやサラダなど作り置きできるものを中心に出す。通常の客数が望めないなかで、食品ロスを減らすためだ。4月9日から休業してきたが、家賃や従業員の給料などで4月は130万円の赤字が出た。都や政府からのお金の支援は固定費の2カ月分にしかならないという。店主の北川雅弘さん(50)は「少しでも稼がないと、6月以降も生き残っていけない」。入り口の扉を開放して換気し、消毒を3時間に1回行う。「店を閉めている時は不安で仕方なかった。久しぶりの厨房(ちゅうぼう)は疲れるけど、ありがたい」と話した。

 4月11日から休んでいた東京・銀座の鶏料理店「神籬(ひもろぎ)」も7日、平日の昼間に限って営業を再開した。8日からは弁当の移動販売も始める。3月の売り上げは前年の10分の1以下。休業しても160万円の家賃や人件費など計約600万円の固定費がかかる。副店長の斎藤雅実さん(54)は「この状況がずっと続くとつぶれる。自分たちが今できることをやる」。従業員から休業への不安の声も寄せられた。カウンターの席数を減らし、机の上にはアクリル板を置いて仕切りをつくった。入店時の検温もするという。

 都内を中心に約50店を展開す…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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