もはや手詰まりだった? 元裁判官が解説する検察側の特別抗告断念

 57年前の1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、東京高検は20日、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)=釈放=の再審開始を認めた東京高裁決定について、最高裁への特別抗告を断念した。袴田さんの年齢などをふまえ、検察側に特別抗告を断念するよう求める声が広がる中での抗告断念について、元東京高裁部総括判事日本大学法科大学院の藤井敏明教授(刑事訴訟法)に話を聞いた。

 ――今回、最高裁で特別抗告が認められる可能性は低かったのでしょうか。

 特別抗告ができるのは、憲法違反や判例違反がある場合に限られています。最高裁は法律審なので、追加のみそ漬け実験などをすることもできない。検察側は、その中で「高裁の判断が過去の判例に違反する」という主張を組み立てる必要がありますが、高裁決定が最高裁で覆されるハードルは高いと考えていました。

検察、科学的な反証できず

 ――なぜでしょうか。

 これまでの審理経過を見てみ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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