アイドルの逆境「私が支えないと」 批判されるほど強まるファン心理

 ジャニーズ事務所の創業者として数々のスターを世に送り出した故・ジャニー喜多川氏。彼がこの世を去った後、長年見過ごされてきた喜多川氏による性加害問題に注目が集まり、事務所にも厳しい視線が向けられている。

 ただ、この問題に対するジャニーズファンの反発は限定的で、タレントらのコンサートも変わらず盛況だ。

 日本の音楽文化やメディアの歴史に詳しく、「『未熟さ』の系譜 宝塚からジャニーズまで」の著者である学習院大学の周東美材(よしき)教授(社会学)は、今回の性加害問題が、ファンがタレントを応援する気持ちを高める契機にもなっているのでは、とみる。

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 ジャニーズファンは、歌って踊れる少年グループとして1962年に結成されたグループ初代「ジャニーズ」とともに生まれた。

 ジャニーズが出演すれば、劇場の客層が若返り、追っかけの少女らは、稽古場などの下に集まった。やがて、そこに出入りしていたデビュー前のメンバーにも興味を抱くようになり、そうしたまなざしが、新たなスター予備軍である「ジャニーズJr.」というシステムの誕生につながっていく。

 喜多川氏は、スターの原石を見つける天才とも評される。ジャニーズのファンにとって、喜多川氏が誰を気に入り、誰をデビューさせるかは、大きな関心事になっていく。

 周東教授はこうした歴史的背景を説明した上で、「誰がデビューできるか、背中を押され引き上げてもらえるか。それはファンの目からはわからず、喜多川氏が独断的に選ぶ、ある種の不条理さがあるように見える。ただ、その予測の難しさがよりファンの応援する気持ちに火をつけてきたのではないか」と指摘する。

不安定な足場でファンが担ぐみこし

 さらに、現在に至るまでジェ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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