ウクライナは「紛争当事国」じゃない? 日本の支援、重ねた「解釈」

 ロシアから侵攻を受けているウクライナに対し、日本は3月以降、自衛隊の装備品を含む物資を送っている。装備品は「紛争当事国」には提供できないが、19日には追加支援も決めた。

 防衛省によると、これまでに提供したのは防弾チョッキ約1900着、ヘルメット約6900個、テント約240セット、カメラ約50台、非常用糧食約11万食、衛生資材・医療資機材約6万5千セット。さらに19日には、化学兵器に対応する防護マスクや防護衣を新たに提供すると発表した。

 防弾チョッキは自衛隊の持つ中で防護力の最も高い最新のものを届けているという。カメラはロシア軍から攻撃を受けた戦場の記録用とみられる。

 新たに提供する防護マスクは、ガスや液体の浸透を防ぐ一方、汗の発散が可能となる特殊な技術が使われている。機微と言える情報を含むが、提供は問題はないと判断したという。

 いずれの提供もウクライナ側からの要望に基づくものだ。日本はポーランドまで運んでウクライナの当局者に渡し、その後の使用状況の追跡調査はしていないという。「戦争中の国で装備品がどう使われているかを調べるのは現実的には難しい」(防衛省関係者)という理由のためだ。

装備品の提供、安倍政権下で可能に

 日本では元々、武器などの装備品を外国に輸出したり、無償提供したりすることは「武器輸出三原則」で禁じられていた。だが、安倍晋三政権下の2014年に制定された「防衛装備移転三原則」で、紛争当事国などを除くなどの条件付きで海外に輸出することが可能になった。

 紛争当事国に装備品を送ることを認めていない新三原則のもとで、ロシアとの戦闘が起きているウクライナに提供できたのはなぜなのか。

 新三原則は、装備品を送るこ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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