エボラ出血熱、新薬で生存9割に 臨床試験で専門家見解

 アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)で行われているエボラ出血熱の治療薬の臨床試験で、2種類の新薬のいずれかによって治療を受けた患者の生存率が9割に達することがわかった。世界保健機関(WHO)などが12日、発表した。

 エボラ出血熱は約5割と死亡率が高く、有効な治療法も見つかっていない。コンゴ民主共和国では昨年8月から感染が拡大し、これまで約1800人が亡くなっている。WHOは7月、緊急事態を宣言した。

 昨年11月に始まった緊急の臨床試験では、これまで治療薬の候補と見られていた「ZMapp(ジーマップ)」と呼ばれる薬を含む四つの薬の安全性や効果を調べている。これまで700人近い患者が試験に参加し、499人分の結果が公表された。

 英科学誌ネイチャーによると、米製薬企業2社がそれぞれ開発した2種の新薬のいずれかを投与された患者の死亡率はそれぞれ29%、34%で、ZMappの49%や、もう一つの抗ウイルス薬の53%よりかなり低かった。

 ウイルスの血中濃度が低い時点で新薬のいずれかを使うと生存率が上がり、ネイチャーは「早く治療を受ければ9割以上の人が死なずに済む」との専門家のコメントを報じている。ZMappと今回の新薬2種はいずれもモノクローナル抗体と呼ばれる薬で、エボラウイルスにくっつき、ウイルスが人間の細胞に入るのを防ぐ働きが期待されている。(勝田敏彦)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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