コロナ対策も五輪も「強い気持ち」一辺倒 武田砂鉄さん

 新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックの延期が発表された。世論も「まあ今夏の開催は無理だろう」と思っていた中での発表。「リセットボタン」が押されたような雰囲気が広がっているのではないか。ライターの武田砂鉄さんはそう指摘します。このまま延期され、東京五輪が1年後に開催されたらどうなるか。武田さんに聞きました。

ライター・武田砂鉄さんに聞く 五輪延期

 五輪の延期発表で、リセットボタンが押され、なんとなく「一区切り」の雰囲気が広がっています。なぜ中止ではなく、延期なのか。「1年」の根拠は何なのか。こうした疑問に明確な説明があったわけでもないのに、です。

 延期は安倍首相がIOCに提案したことになっていますが、あらかじめ報じられていたように、カナダや豪州が選手を派遣できないと表明していた。安倍首相は少し前まで「完全な形で」開催する、と言っていましたが、世論も「まあ無理だろう」と思っていた。

拡大するトーチで聖火皿に火をともした野村忠宏さん(右)と吉田沙保里さん=2020年3月20日、宮城県東松島市、諫山卓弥撮影

 なし崩し的に五輪の「成功」に向けて漠然と進んでいた中での「提案」でした。ただこの「なし崩し」は新型コロナウイルスの感染拡大で始まったわけではない。東日本大震災後の2013年の段階で、復興五輪として五輪を招致するため「福島はアンダーコントロール」と語った。汚染水問題があるのは誰もが知っていたのに、です。都市型のコンパクトな五輪をめざし、コスト削減も重視していたのに結局、施設の建設費は想定以上に膨らんでいます。さらに言えば招致活動での日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和元会長の贈賄疑惑もうやむやなまま。こういうプロセスまで「一区切り」にしてはいけません。

 「やる」ことは決まったことな…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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