コロナ患者用ベッドは2床だけ 客足戻らない離島の苦悩

 東京都の伊豆諸島や小笠原諸島の離島で、新型コロナウイルスの感染防止へ向けた取り組みが進んでいる。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な島では観光客の受け入れを一時期控えてきたが、観光業で成り立つ島の経済は厳しさを増し、徐々に受け入れを再開。感染防止と経済活動の両立に向け、島内では不安と期待が交錯する。(荻原千明、岡戸佑樹)

 「体調不良など見受けられた際には、無理をせずご来島を見合わせていただくことにご協力ください」

 八丈島観光協会(東京都八丈町)のホームページには、観光客向けにそんなお願いが記されている。

 東京都心から南へ300キロに位置する同町は、南国を思わせる自然に囲まれる。新型コロナの感染拡大による来島自粛要請は6月19日に解除されたが、7月の観光客は推計で3512人と前年比で6割減った。政府の観光振興策「Go To トラベル」も対象から外され、観光協会の田村真吾事務局長は「観光業は島経済の中核なので影響は大きい」と嘆く。

 観光客の受け入れ再開へ向け、同協会は感染防止対策のガイドラインを旅館や飲食店などに配り、保健所職員を招いた勉強会を開いてきた。「地道に感染防止の取り組みを積み重ね、経済との両立を図っていくしかない」と田村事務局長は話す。

 父島、母島を擁する東京都小笠原村は、ゴールデンウィーク直前の4月21日から「来島自粛」を呼びかけてきた。5~6月はダイビングのベストシーズンだが、来村者は前年の6%。来島自粛は6月末に解除されたものの、今も客足は完全には戻らないという。

 村の担当者は「島に行っても大丈夫でしょうか、という問い合わせがくることもある。感染防止に十分気をつけた上で観光に来てほしい、というのが村としての思い」と話す。

到着までに結果が判明

 ウイルスを島に持ち込ませないための「水際」対策にも力を入れる。

 本州と父島を結ぶ唯一の交通手…

2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment