コロナ流行で聴覚障害の子どもがくれた「気づき」不便さの中のヒント オンライン授業の方が便利だけど……【#コロナとどう暮らす】(withnews)

教員がそばで待機、不明点は紙に要約

さいたま市緑区の主婦麻生聖子さん(46)は、長女心音(ここね)さん(10)と暮らしています。聴覚障害の当事者で、地元にある公立小の一般級に通う、小学5年生です。 聴力は右耳が85デシベル、左耳が105デシベルで、先天性の高度難聴。大声の会話であれば、かすかに音が聞こえる程度といいます。身体障害者手帳4級を取得しており、授業に出席する際には、様々な配慮を受けてきました。 たとえば担任教諭は、小型マイクを身につけてから教壇に立ちます。音声を無線で心音さんの補聴器に飛ばし、聞きやすくする仕組みです。更に周囲の児童の動作から、教諭の指示内容を推測できるよう、座席は最前列から数えて2番目の位置に固定してもらっています。 情報を得るための工夫にも余念がありません。週4時間程度、手が空いている教員が授業に同席。心音さんの近くで待機し、わからないことがあれば、紙に要約して見せています。また教室内には裏紙が束ねて置いてあり、他の子どもと筆談できるようにしているそうです。 「こうしたサポートの中には、学校にかけ合って実現したものも、先生たちが独自に発案したものもあります。自然と手を差し伸べてくれる雰囲気があり、助けられてきました。娘も安心しているようで、とてもありがたいです」

話したことの大半を理解できなかった英語

一方、困難を経験したことも少なくありません。全て英語で対話を行う授業「グローバル・スタディ」では、特に壁を感じてきました。 4年生になると語彙(ごい)や発音の難易度が上がり、相手の唇の動きを読んで返答する、口話(こうわ)の技術が使いづらくなったといいます。担任教諭やクラスメイトとの会話についていけず、苦労する場面もしばしばあったそうです。 学期末の評価は落ち込み、「話したことの大半を理解できていなかった」と振り返る麻生さん。そこで学校に要望を重ね、3学期終盤、予習用のプリントを作ってもらえることになりました。 「先生方の中には、児童に未習範囲の内容を伝えて大丈夫なのか、という葛藤があったかもしれません。しかし最終的には必要性を理解してくれました」。次の授業で扱うフレーズなどがまとまっており、効率よく勉強できるようになった結果、評価は改善したといいます。 学びの環境が整ったかに思われましたが、進級直前になって新型コロナウイルスが流行。今年2月には、安倍晋三首相が全国の小中高校・特別支援学校に休校を要請しました。この動きを受けて、心音さんの学校も感染拡大を防ぐ目的で、3月2日に授業を取りやめます。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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