コロナ禍、未知への恐怖と闘う 本から学べる人類の経験

 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちのくらしや社会を大きく変えました。直面する不安に、どう向き合い、乗り越えていけばいいのか。各界で活躍する人たちに尋ねました。

澤田瞳子さん

 古代をテーマにした作品を書くことが多く、普段は史料を徹底的にあたっています。でも研究書や論文は書店には置かれていないことも多く、大学図書館も閉館していたので、資料集めには苦労しました。

さわだ・とうこ 作家。京都府生まれ。2010年、「孤鷹(こよう)の天」でデビュー。「満つる月の如し 仏師・定朝(じょうちょう)」(12年)で新田次郎文学賞受賞。天平の天然痘大流行を描いた「火定」(17年)のほか、「若冲(じゃくちゅう)」(15年)、「落花(らっか)」(19年)で3度の直木賞候補になった。

 歴史は、古い時代ほど点でしか残っていません。そこから面にし、作品にしていくには、できるだけ多くのパーツを集めてくることが必要です。古い仏像を修復するのに、できるだけ同じ時代に使われた材料をそろえたいのと同じで、史料も同じ時代のものを探したい。

 ただ、人々の内面までは史料を読んでも出てきません。当時の街並みはわかっても、空気感やにおいまではわからない。史料を通じて少しでも手がかりを得て、想像力の源になる種が欲しいんです。

 「火定(かじょう)」は、奈良…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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