コロナ禍の派遣切り、ホームレスに 「でも前を向く」

 新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されて15日で1年。今なお止まらぬ感染拡大は、多くの人の暮らしを一変させた。職と住まいを失った北九州市の男性(28)は、支援を受けながら再起をめざす。

 食堂のテレビには、ステーキ店で5人以上で会食した首相のニュースが流れていた。昨年12月中旬、男性はレンジで温めた弁当の焼き魚を食べながら、「おれたちのことなんて見てないね」とつぶやいた。政治は自分たちの生活とかけ離れている、と改めて思った。

 1年前。男性は福岡県内の自動車関連会社で、エンジンの検品の仕事をしていた。派遣社員として2年半勤め、職場の人間関係もよかった。そんなとき、新型コロナの国内初感染のニュースが流れた。

 4月、5月と職場の派遣社員が減っていった。6月、朝の体操の後、持ち場に向かおうとして上司に呼び止められた。「派遣は全員いない状態にするから」「そうですか」。通告を受け止めるしかなかった。

 会社の借り上げ住宅に住めなくなり、北九州市内の家賃4万円のアパートを借りた。10万円の特別定額給付金や失業手当は、家賃と奨学金の返済に消えた。ハローワークで仕事を探したが、車の免許がないことがネックに。派遣会社からはコロナ禍で希望する工場の仕事はないと言われた。

 感染拡大が落ち着いていた10月、頼みの失業手当が切れた。家賃が払えなくなり、スマホを止められた。アパートを解約し、1万円札1枚を手に部屋を出た。

 寒空の下、市内の公園を転々と…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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