サンダーバード乗車中の記者が見た光景 沿線火災、荷物そのまま外へ

河原田慎一

 12日午前11時15分ごろ、福井県鯖江市下河端町の住宅兼作業所から「火が燃え広がった」と119番通報があった。鯖江・丹生消防組合によると、木造一部2階建ての建物が全焼し、約2時間半後に鎮火した。鯖江署によると、80代の男性1人がやけどをして病院に搬送された。意識はあるという。

 この火災の影響で運転を見合わせることになった大阪発金沢行きの「サンダーバード13号」に記者が乗り合わせた。

 午前11時20分ごろ、本来通過するはずの鯖江駅に停車した。「沿線で火災が発生したので運転を見合わせる」とのアナウンスが入った。

 車内は外国人観光客や国内のツアー客などで7割ほどがうまった状態。白川郷岐阜県)や宇奈月温泉(富山県)に向かう団体ツアーの添乗員が、旅程の変更をしようと忙しく電話でやりとりし始めた。

 消防車のサイレンの音が聞こえたが、車内からは火災の様子はうかがえない。「午後1時ごろに運転再開予定」とのアナウンスに、乗客は一時、ひとまず安心した様子だった。

 だがその後、沿線火災で鉄道の設備が損傷したとの情報が入り、運転再開見込みの時刻が「午後3時ごろ」となった。午後0時半過ぎには列車は停電し、駅員らが2、5、8号車のドアを手動で開けて、運転再開まで乗客が車外で待てるようにした。

 外国人の乗客は、日本語での車内放送の内容をたずね合いながら、不安そうな表情で駅におりた。薄暗い車内には、乗客らのスーツケースが網棚などに残されていた。

 団体のツアー客は、添乗員の誘導でスーツケースを持って下車。鯖江駅に手配されたバスで目的地に向かった。姉妹5人でツアーに参加していた兵庫県西宮市の女性(57)は、「この日のために沖縄や東京からきょうだいで集まった。えらいことになったが、これもめったにない経験です」と話した。(河原田慎一)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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