テレワーク時代にこそ必要。働きすぎ“燃え尽き症候群”を察知する「データフィケーション」とは(BUSINESS INSIDER JAPAN)

こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。

春になり新しい職場、新しい環境に移る人も多い時期だと思います。今回は社員のモチベーションをどのように可視化するか、どんなAI技術が活用されているかについて書きたいと思います。

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「社員のやる気を出したい」「離職率を減らしたい」「メンタル不調のサインを早期にみつけて対応したい」そう考える人事担当者は増えています。

新型コロナウイルスの影響でテレワーク化が急速に進む中、従来の日本企業的な「ホウ・レン・ソウ」のコミュニケーションが難しくなってきているからこそ、今後この問題は顕在化する可能性があるのではないでしょうか。

パロアルトインサイトに来る問い合わせの中にも、人事関連の課題に対してAIをどう活用できるか、というものが多くあります。中でも一番の課題が「社員のモチベーション維持」や「離職率低減」です。

社員のモチベーションレベルやストレスレベル、燃え尽き症候群になっていないかどうかなどを把握するために、人事部は通常、年に1回のアンケート調査を行なったり、360度評価のメモを残しておいて見直したり、入社時の適性検査を利用したり、いろいろな形でデータを収集しています。

しかし、ここに大きな課題があります。

頻繁に早く集められるデータを元にやる気を可視化

データフィケーションとは、アメリカのジャーナリストのKenneth Cukier氏の造語で、5年ほど前からIT業界(特にAI領域)で使われ始めました。人の生活や活動のいろいろな側面をデータに変える技術的なトレンドを意味します。

アリババの最高戦略責任者(Chief Strategy Officer)のMing Zeng氏が、ハーバードビジネスレビューへの寄稿文で、いかにアリババがユーザーの全てのやりとりをデータ化しているかを書き、注目を集めました。生データとしていろいろな形で貯められたデータを意味のある情報に変換することが重要になります。

成功しているAIファーストの会社(GAFAやネットフリックス、アリババ、テンセントなど)はデータフィケーションのプロでもあり、「どんなデータがあれば、役に立つ情報に変換できるだろうか?」「どのように変換すれば、データを情報に、情報を示唆に変えることができるだろうか?」という問いかけが重要になります。

人事に関しては、アメリカでも同じような課題を抱える会社が多くあります。少し古いデータですが、アメリカ人の社員の過半数が職場でのやる気がないという調査結果もあります。そして年に1回のアンケート調査では必ずしも有益なデータが入手できるわけではないことも論じられています。

理由としては、

データの収集頻度が年に1、2回と遅い

集計に数カ月単位の時間がかかる

回答内容のバイアスを取り除くのが難しい

という点が挙げられます。

この問題を解決するためにいろいろな技術を活用したソリューションを提供する会社が増えています。

データフィケーションその1. キーンコープ社の場合
例えばオランダのキーンコープという会社は、GDPR対応をしたプライバシーを守る形で、「社員のメールとチャットの使用状況や使われている単語などのデータをリアルタイムで抽出、解析」した上で、「ムードメトリックスという形で数値化、数値化したものをダッシュボードに落とし込み可視化」する技術を提供しています。

また、部署ごとに「ヒートマップ」という形でリスク要因をまとめ、やる気が全体的に落ちてきている部署はどこか、うまくいっている部署はどこかが一目で分かる作りになっています。

データフィケーションその2. Peakon社の場合
デンマーク発のPeakonというHRスタートアップは、社員へのアンケート自体を簡便、かつ頻繁に行えるようなSaaSを開発しています。同社は、2019年にはシリーズBの資金調達として、アトミコなどの大手投資家から3500万ドル(約37億8000万円)を調達しました。

従来のような年に1回のアンケートではなく、週に1回を目安に、SMSやオンラインポータルから社員が簡単なアンケートに答えるものとなっており、リアルタイムで集計してダッシュボード上で可視化を実現しています。

また、Peakonの会社ブログによると、組織心理学の考え方に基づき社員のエンゲージメントを高める14種類の要因(裁量性、要求されていることの明瞭性、自分の仕事が意味のあることだいう認識など計14種類)をカバーした質問を用意してあり、バイアスを取り除く形で質問をつくることができます。

どれくらいの頻度に社員にアンケート調査を行いたいかを決めた後は、ランダムに質問の順番や対象となる社員を入れ替えるアルゴリズムを提供して、「アンケート疲れ」を防ぐということです。

このような手法をとることで、アンケート調査にみられる上記1~3の問題を解決しています。結果的に、Peakonによれば250日前からどの社員が離職するリスクがあるかが分かるようになるということです。

このようなデータフィケーションの仕組みづくりのポイントは、頻繁かつ比較的早く収集できるデータ元を探しあてて、バイアスを限りなく取り除いた形で情報を収集することが挙げられます。

1つのツールやデータ元に頼るのではなく、いろいろなものを使いこなして一元管理→可視化→アクションという流れを会社の中で作ることが大事だと考えられます。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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