バス置き去り事件のこども園、24人が通園やめる 女児死亡3カ月

 静岡県牧之原市認定こども園「川崎幼稚園」で3歳女児が通園バスの車内に取り残され熱射病で死亡した事件から5日で3カ月。県警は同日、業務上過失致死の疑いで、当時バスを運転していた増田立義前理事長兼園長(73)=同市=ら4人を静岡地検に書類送検した。牧之原市の杉本基久雄市長は「これで問題解決ではない。園の対応を引き続き注視していきたい」と述べた。

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 警察の捜査が節目を迎えたこの日、亡くなった女児が通っていた保育園や現場の駐車場に訪れた人が、花を手向けたり、手を合わせたりしていた。浜松市浜北区の大石貞男さん(75)は保育園に花束を持ってやってきた。「ここに来るのは5回目だが、いまだに胸が痛む。なぜこんなひどいことが起きたのか。園側はきちんとした説明をしていない」と怒りを口にした。

 市によると、保育園は事件の約1カ月後に再開。ただ、167人いた園児のうち24人が転園するなどして園に通うのをやめた。

 子どもを園に通わせる保護者の一人は「先生たちのやったことは許されない。安全対策をして、早くふだんの園に戻ってほしい」と話した。

 杉本市長は「これで問題が解決されたわけではない。再発防止のためのマニュアルの見直しや職員への周知など、県と市の改善勧告を受けた園の対応を引き続き注視していきたい」と述べた。

 県警によると、ほかに書類送検されたのは、バスに添乗していた元派遣職員の女(76)=同=、クラス担任だった元保育士の女(47)=同=、副担任だった女(26)=吉田町=。

 県警は、バスの降車確認をしなかった前園長らのほか、園内で女児の不在を把握しながら保護者らへの出欠確認を怠ったことも重大な結果につながったとして、当時のクラス担任らにも刑事責任を問えると判断したとみられる。

 4人は今年9月5日、河本千奈ちゃん(当時3)を駐車場に止められた通園バスの車内に約5時間にわたって置き去りにし、熱射病で死亡させた疑いがある。県警が事件後の9月中旬に実施した検証実験では、車内は40度を超える高温になったという。

 この事件を受け、県と牧之原市は10月、園の安全管理に法令違反などがあったとして改善勧告を出した。園側が11月、勧告に基づいて提出した改善報告書を「おおむね適切だ」として受理したが、全21マニュアルのうち六つについては事故予防の研修や訓練の詳細を書き込んでいないなど、記載内容の不整合や不足を指摘した。今年度内を目途に改めて各種マニュアルの再提出を求める異例の対応をとっている。県福祉長寿局の浦田卓靖局長は「一部のマニュアルに問題がある」と話す。(魚住あかり、中村純、床並浩一)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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