パンフ、シュールに刷新「行けないこともない世界遺産」

 見たら思わず笑ってしまうかも? 福岡県宗像市が新しくつくった観光パンフレットが「シュール」と好評だ。

 せっかくつくっても観光客がなかなか手に取ってくれない。そんな危機感を抱いた市の担当者が内容の刷新に踏み切った。

 新しく昨年11月に2千部つくったパンフレットはA3の二つ折りで、分野別に全8種類ある。

 こだわりはなんといっても表紙だ。

 思わず見てしまうデザインで何これ? と興味を持ってほしい。お堅いイメージを打ち破りたいという担当者の思いを、漫画家・和田ラヂヲさんが形にした。

 「行けないこともない世界遺産」では、2人組が、海の向こうに浮かぶ世界遺産の沖ノ島を指して「あの島へは行けるんですか?」。

 それに対して神官が「……」と無言で、でも何やら言いたげな表情でたたずむ――。

拡大する「行けないこともない世界遺産」=福岡県宗像市提供

 宗像大社沖津宮(おきつみや)がある沖ノ島は島全体がご神体。一般の上陸は男性のみ年に一度だけ認め、世界遺産登録後は原則禁止と運用が厳しくなった。

 一方で、沖ノ島より陸側の大島にある同大社の中津宮(なかつみや)と本土の辺津宮(へつみや)は、世界遺産の構成資産の一つで、参拝できる。

 その微妙な塩梅(あんばい)を表現した。

 「じっくり見れる観光スポット」では、手をつないで観光地を歩くカップルが登場。

 「誰もいないじゃないか…」と遠い目で突っ込む男性に、女性が「プラス思考で行きましょ!!」。

 「さがしてみてね MAP&アクセス」では、「MUNAKATA LOVE」と書かれたTシャツ姿の案内人が地球儀を指さし、宗像市の位置を「たぶんこの辺だと思う!!」とざっくり紹介している。

 表紙をめくると中には詳しい地図や行き方が載っている。

 これまでは、観光案内ガイドブックで23ページにわたり市の見どころを紹介していた。

 表紙には大島にある沖津宮遥拝(ようはい)所やイカの生け作りなど名所・名物をあしらった。

 もちろんこれも自信作。おととしは2万部刷り、1万5千部を配布した。

 ただ、市商工観光課の高村光司郎さん(24)には「もっと手に取ってほしい」という思いがあった。

 大胆な見直しに高村さんは「怒られないかびくびくしました」と心配したが、「シュール」と地元市民や観光客からは高評価だ。

拡大する「じっくり見れる観光スポット」=福岡県宗像市提供

 市内外の人の目に留まるよう、通勤・通学客が多いJR赤間駅に置いたところすぐなくなり、駅での追加配布を見送っているほどだ。

 「予算の関係で印刷部数は抑えざるを得ない。ウェブでも公開しているのでぜひチェックしてほしい」と高村さん。

 現物は、いずれも市内にある道の駅むなかたの観光情報コーナーと街道の駅赤馬館、市役所の3カ所で入手できる。(棚橋咲月)

拡大する「さがしてみてねMAP&アクセス」=福岡県宗像市提供

拡大する「あることはある食&お土産」=福岡県宗像市提供

拡大する「カベに貼っとけ四季カレンダー」=福岡県宗像市提供

拡大する「ヤマる?チャリる?登山&サイクリング」=福岡県宗像市提供

拡大する「ここへ行っとけオススメ周遊コース」=福岡県宗像市提供

拡大する「たぶんおもしろい体験スポット」=福岡県宗像市提供


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment