プール10杯分の水が流出、職員に賠償請求はせず 見送った理由は

中島嘉克

 宮城県富谷市教育委員会は22日、市立東向陽台小学校でプールの元栓を閉めきっていなかったため、プール約10杯分にあたる約4千立方メートルの水が流出したと発表した。損害額は203万円に上る。市教委は関係職員への賠償請求はせず、一般会計をあてる方針だ。

 市教委によると、プールに亀裂がないかなどを調べるため、市教委の指示を受けた同小の教員2人が4月27日にプールへの注水作業を実施。ただ作業後に元栓を閉めるのが不十分だったため、水が止まっていなかったという。5月9日に市上下水道課が水道メーターを確認し、水の流出が発覚した。

 教員側は調査に対し「元栓を閉め忘れたものではなく、完全に閉めたと認識している」などと説明。市教委は、水は下水管に流れ出ていたため見た目では流出が確認できない状態だった点や、市教委が学校側に注水後のメーター確認の徹底を十分指示していなかった点なども踏まえ、関係職員には厳重注意をしたが賠償請求は見送った。今後、補正予算で対応するという。

 市教委の担当者は「市民のみなさまの税金で補う形になるので非常に重く受け止めており、申し訳なく考えている。今回の事案はすべての学校で起こりうるので、きちんと対策を取っていきたい」としている。損害分を圧縮するため、経費削減にも努めるという。

 プールの水を巡っては、川崎市の市立小学校でも5月に約6杯分の水があふれるトラブルがあり、同市教委が校長らに損害額約190万円の半額を賠償請求したところ、「かわいそう」「教職員のなり手不足が加速する」などの意見が市教委に寄せられたという。ただ市教委は今月15日、校長側から賠償金の支払いがあったと発表している。(中島嘉克)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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