レッテルが広げる言えない空気 マイノリティー「攻撃されるかも」

 昨年12月の週末、東京都武蔵野市に住むメリッサ・ボルハ(47)は家族5人で買い物を楽しんでいた。クリスマスムードの華やかな街並み。帰り道、駅の近くで異様な光景を目にした。

 拡声機を持った集団が叫ぶ。周りにいた別の集団が、対抗して声を張り上げる。怒鳴るような日本語は聞き取りづらかった。それでも「反日」「レイシスト(差別主義者)」といった単語は耳に入った。

 外国人3千人を含む14万8千人が暮らす武蔵野市。市議会では、国籍に関係なく、3カ月以上住んでいる18歳以上の人なら誰でも住民投票に参加できる条例案が議論されていた。賛否両派による街宣活動は熱を帯びた。

 8年前から武蔵野市で暮らすボルハは、母国フィリピンの弁護士としてリモートで働く。親子で楽しめるスポーツ教室や、外国語の本も豊富な図書館。高1から小1までの3人の子育てをしやすい環境が気に入っている。条例ができれば、まちづくりに関われるかもしれないと期待していた。

 「あいつは○○だ」。一方的なレッテルが、大切な議論を封殺してしまうことがあります。特に、マイノリティーへの影響は深刻です。不当な決めつけが、社会に「言えない空気」を広げていないでしょうか。

 だが、駅の近くで耳にした…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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