一審で死刑判決の工藤会トップ、控訴審の判断は 12日に判決

 四つの市民襲撃事件で殺人などの罪に問われ、一審で死刑判決を受けた特定危険指定暴力団工藤会のトップで総裁の野村悟被告(77)と、無期懲役判決を受けたナンバー2で会長の田上不美夫被告(67)の控訴審判決が12日、福岡高裁で言い渡される。2人が事件に関与した直接的な証拠がないなかで、「厳格な序列の定められた暴力団組織」でトップが意思決定に関わったと推認した一審判決が維持されるか否かに注目が集まる。

一転して関与認めたナンバー2 「総裁は何もしていない」

 起訴状などによると、両被告は1998年の元漁協組合長射殺事件、2012年の元福岡県警警部銃撃事件、13年の看護師刺傷事件と14年の歯科医師刺傷事件に関与したとされる。

 両被告は一審では一貫して無罪を主張。しかし田上被告は二審で主張を一変させ、2事件で「(野村被告に相談せず)独断で指示した」と関与を認めた。

 被告人質問で田上被告は、野村被告の施術を担当していた看護師が刺傷された事件については「(野村)総裁が馬鹿にされたと聞いてカッときた。見せしめのため、一生傷が残って恥ずかしい思いをすればいいと思った」と話した。

 主張を変更した理由について一審で野村被告に死刑判決が出たことを念頭に、「総裁は何もしておらず、全く関与していないのに、推認推認で死刑になった。申し訳ない気持ちになった」と説明した。

 野村被告は一審に続いて全事件の関与を否定。田上被告が関与を認めたことについては、「私のことを思いすぎてくれるくらいの人間やから(田上被告に)すまんなと思っている」と話した。

 検察側は最終弁論で、看護師刺傷事件について「野村被告が事件の意思決定をした事実を隠し、田上被告が意思決定者であると取り繕うため、不自然かつ不合理な虚偽弁解に終始せざるをえなかった」と指摘。「一審判決は論理則、経験則に違反する不合理な点はない」と述べた。

 高裁は、弁護側が提出した複数の現役組員の陳述書など約150点の証拠のうち、両被告の陳述書など3点のみを採用しそのほかは却下した。公判中、弁護側が請求した「新証言をする組員の証人尋問」の採用をめぐり、弁護人が強い口調で異議申し立てをする場面もあったが、採用されなかった。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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