不正馬券購入、調教師・騎手30人処分 笠松町長が謝罪

 笠松競馬(岐阜県笠松町)の調教師や騎手が不正に馬券を購入していた問題で、レースを主催する県地方競馬組合は21日、既に引退した元調教師らを含め調教師・騎手計30人と、公正競馬を徹底しなかった笠松町長ら組合トップの歴代管理者や組合職員ら計21人を減給などとする処分を発表した。処分は同日付。

 21日夜、組合が記者会見を開き発表した。現組合管理者の古田聖人・笠松町長は「ファンのみなさんらに多大な迷惑をかけて心よりおわびする」と謝罪した。

 出走馬の調子などの情報をもとに笠松競馬の馬券を購入していた元調教師と元騎手3人の計4人=引退済み、競馬法違反の罪で罰金の略式命令=は、競馬界から追放となる「競馬関与禁止」。馬の情報を提供して金銭を得たり、馬券をグループ購入したりした現役調教師と騎手計8人を「競馬関与停止」(6カ月~5年)とした。組合は、関与停止の騎手2人は公訴時効が成立していないとして21日、競馬法の収賄容疑で岐阜県警刑事告発した。

 不正に関わった騎手への監督不行き届きや所得の過少申告などで調教師9人を「戒告・賞典停止」(20日~34日)とした。賞典停止は調教師手当などが支払われない。馬券購入など不正行為を知りながら報告しなかったとして騎手9人を戒告とした。

 さらに女性厩務(きゅうむ)員らにセクハラを繰り返したとして調教師1人(戒告・賞典停止の1人と重複)が調教停止90日の処分を科された。セクハラを受けて組合管理の厩舎を今年度は貸さないことにした。

 馬券購入問題を調査していた第三者委員会の報告書をもとに処分を決めた。問題の原因として、①騎手や調教師法令順守意識の欠如②ルールを厳正に運用すれば防ぐことができたとして「組合の怠慢」などを挙げた。

 組合関係者の処分は、古田町長ら不正が確認されて以降の歴代管理者ら7人を減給10分の1(1~3カ月)とし、退職者には減給同額の寄付を求める。歴代事務局長や課長ら14人を戒告などとした。この51人に加え、組合の構成団体の一つである県の古田肇知事も減給10分の1(3カ月)とする。

 再発防止策も発表した。国側が求める組織管理の強化へ向け、古田町長は管理者を退き、県副知事が就く。外部と馬券購入のやりとりをする携帯電話を持ち込んでいた、騎手の「調整ルーム」に関し、監視カメラや通信抑止装置を設置し、金属探知機による手荷物検査を実施するとした。外部有識者による運営監視委員会も新設するという。レースの再開時期について、組合幹部は「申し上げられない」とした。(荻野好弘、村上潤治、松永佳伸)

競馬界から無期限で追放

 笠松競馬(岐阜県笠松町)の調教師や騎手が不正に馬券を購入していた問題で、レース主催者の県地方競馬組合が既に引退した元調教師と元騎手の計4人を最も重い「競馬関与禁止」に、馬券購入などに関与した現役の調教師と騎手10人弱を「関与停止」の処分とする方針を決めたことが関係者への取材で分かった。

 笠松競馬所属の騎手・調教師34人のうち10人弱がレースに関与できなくなる。21日にも騎手らに通知し、公表する予定で、5月下旬~6月上旬のレース再開を目指すという。

 この問題を巡っては、弁護士らでつくる第三者委員会が3月末に調査報告書を同組合に提出。関係者によると組合はこれを受け、規則に基づいた処分予定を本人らに連絡。4月中旬、面談で反論や意見を聞いた上で、最終的な処分内容を決めたという。

 競馬法違反の罪で罰金の略式命令を受けた元調教師と元騎手3人の計4人は競馬界から無期限で追放される「関与禁止」に。報告書で、妻の協力で馬券を購入したと認定された調教師や、元調教師、元騎手らに馬の調子を教えて情報料を得たり、元調教師らとグループで馬券を買ったりした騎手や調教師らが「関与停止」の処分となる。

 「停止」は「禁止」に次ぐ重い処分で、停止期間は5年など認定された不正によって異なるという。

 4月上旬に3年関与停止の処分方針を聞いた調教師は騎手時代の情報提供とその見返りが問題とされた。取材に「仲間で馬の調子を聞くのは普通のこと。ロッカーに金が入っていたことはあったが、厩舎(きゅうしゃ)の攻め馬賃(調教料)かと思っていた。聴聞で反論したが、処分ありきではないか」と不満を語った。

 また女性厩務(きゅうむ)員らに対するセクハラが問題視された調教師1人にも重い処分が科せられることになりそうだ。このほか、騎手への監督責任や税務問題で処分される調教師もいる模様だ。

 レースの主催者が関与停止以上の処分を科した場合、地方競馬全国協会(東京)は競馬法施行規則に基づき騎手や調教師に交付している免許を取り消す。元調教師ら4人は昨年、免許が更新されず引退となった。(荻野好弘、村上潤治)

今回発表された処分(重複あり)

調教師・騎手】

・関与禁止 4人

・関与停止(半年~5年) 8人

・調教停止(90日) 1人

・戒告・賞典停止(20日~34日)9人

・戒告 9人

【組合】

・減給10分の1(1カ月~3カ月) 笠松町長ら7人

※知事は減給10分の1(3カ月)団体の長として監督責任をとる

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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