不法滞在外国人、ハンスト続出で入管苦慮…約4割は元刑事被告人(産経新聞)

 不法滞在などで国外退去処分となった外国人を収容する入国管理施設で、長期収容に抗議して食事を拒むハンガーストライキ(ハンスト)が相次いでいる。一時的に身柄拘束が解かれる「仮放免」狙いとみられているが、死者も出て弁護士会などは人権侵害だと批判する。一方で、6カ月以上の長期収容者約700人のうち約4割が薬物や窃盗事件などで摘発された元刑事被告人であることも関係者への取材で判明。治安上の観点から入管当局は仮放免の運用拡大などには慎重にならざるを得ない面があり、対応に苦慮している。

 ■強制送還を拒否

 出入国在留管理庁は出入国管理法に基づき、就労や留学など正当な在留資格を持たず日本国内に不法滞在する外国人の身柄を拘束。国外退去まで一時的に国内17カ所の施設に収容している。

 国外退去となる外国人は年に1万人以上で、その大半は退去に応じるが、本人が拒否し、本国も強制送還に応じない場合は収容が長期化することになる。

 難民認定申請中は強制送還できないため、認定の見込みがないのに申請を繰り返すケースもあり、収容者の約半数が申請しているという。日本に家族がいる場合などは、人権上の配慮から「在留特別許可」を出すが、長期収容者が認められるケースは少ない。

 病気などやむを得ない事情がある場合は、行動範囲の制限などの条件付きで仮放免が認められる。

 ■2週間で再収容、弁護士会抗議

 収容施設では、仮放免狙いとみられるハンストが相次いでいる。平成29年5月に東京入国管理局(東京)で最大47人、30年4月には東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で最大128人がハンストを実施。今年も7月に同センターで最大約70人が行い、今も複数施設で数十人規模で行われている。

 大村入国管理センター(長崎県大村市)では6月、ハンストをしていた40代のナイジェリア人男性が死亡。日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長は、第三者機関による調査と再発防止策を講じるよう求める声明を発表したが、ハンストをして仮放免された外国人が約2週間で再収容されているとして「再収容の必要性・相当性を厳格に判断し、認められない限り再収容をしないよう強く求める」とも訴えた。

 ■再犯の恐れ「払拭できない」

 入管庁によると、昨年末時点で全国で収容された1246人の外国人のうち、約半数の681人は送還拒否などの理由で6カ月以上収容されている長期収容者。過去3年間で2倍のペースで増えている。

 関係者によると、この681人のうち約4割は、強盗や窃盗といった刑法犯や覚せい剤取締法違反など入管法違反以外の罪で摘発されていた。

 元刑事被告人の長期収容者の国籍で最多はイラン。イランは本人が拒否すれば強制送還を受け入れない方針を示しているためだ。

 仮放免中に再び摘発されるケースもあり、入管庁としては「重大な罪により罰せられた者や再犯の恐れが払拭(ふっしょく)できない者の仮放免は許可できない」という立場だ。

 また、仮放免となっている外国人は昨年末時点で計2501人いるが、これとは別に仮放免後に所在不明となった人物が約300人おり、全体の約1割に上ることも新たに判明した。

 ■「確実に送還できる仕組みを」

 入管行政に詳しい弁護士は「犯罪防止は収容の主たる目的ではないが、治安上の観点もあるのは間違いない」と指摘。その上で「問題ない収容者を仮放免する柔軟さも必要だが、収容に期限を設けて確実に送還できる仕組みを作ることが最も重要だ」と話す。

 法務省の旧入国管理局で局長を務めた日大危機管理学部の高宅(たかや)茂教授(入管法)は「外国人労働者の受け入れ枠を拡大する半面で仮放免の運用を厳格化するのは政策的には当然のことだ」との見方を示す。入管庁関係者は「国費をかけて好き好んで長期間収容しているわけではない。ハンスト対応などで入管現場は疲弊しており、早急に対策が必要だ」と強調する。

 入管庁は今月、外部有識者会議に収容問題を検討する専門部会を設置。長期収容者の実態を踏まえて年度内に提言をまとめる。(市岡豊大)

 ■仮放免 不法滞在により施設に収容された外国人について、病気などの身体的理由を考慮し、身柄拘束を解く手続き。300万円以下の保証金の納付が必要なほか、住居や行動範囲の制限、呼び出しに対する出頭義務などの一定条件がつけられ、違反すれば保証金を没収された上で再収容される。刑事事件での「保釈」に相当し、入管当局に広範な裁量があることが判例で認められている。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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