九州豪雨、死者計56人に 今後は東北まで広範囲で大雨

 停滞を続ける梅雨前線の影響で、九州地方は北部を中心に、6日夕から7日にかけて猛烈な雨に見舞われた。熊本、福岡両県で7日午後9時までに7人の死亡が確認され、4日からの大雨による死者は計56人になった。心肺停止は熊本県で2人、行方不明は熊本、大分、鹿児島の3県で計12人になった。西日本から東北の広い範囲で9日まで大雨になるところがある見込み。

 7日、豪雨による新たな被害が相次いだ。熊本県山鹿(やまが)市では、道路脇に落ちて水没していた車内で高齢の男女2人が、福岡県大牟田市では、浸水した家屋の中で同市の女性と男性がそれぞれ見つかり、死亡が確認された。大牟田市は24時間降水量が観測史上最多の446・5ミリに達して広範に水につかり、児童らが6日夜に小学校に取り残されるなどした。

 大分県日田市では、1級河川の筑後川が上中流部で氾濫(はんらん)。県警によると、7日午前7時50分ごろ、同市天瀬(あまがせ)町の男性から「家に水が入ってきて、妻が流された」と通報があった。流されたのは70代の女性とみられる。

 九州7県では、6日から7日午後3時までに、少なくとも約64万9千世帯、約142万3千人に一時、避難指示が出された。

 一方、甚大な被害があった熊本県南部では、7日も行方不明者の捜索が続き、球磨(くま)村で1人が心肺停止の状態で見つかった。ただ、被害の全容判明には至っていない。県によると、道路の寸断により孤立状態にあるのは、7日午後3時現在、7市町村の約2900世帯。県は安否確認をほぼ完了したとしている。

 国土交通省によると、7日正午までに、九州で国が管理する球磨川、彦山(ひこさん)川、筑後川と、県管理の16河川で氾濫などを確認した。国交省は、筑後川の支流にある下筌(しもうけ)ダム(日田市など)で水位が上昇したため、7日午前10時半ごろから緊急放流した。1973年の完成以来、実施は初めて。全量が下流の松原ダムに流れ込んだが、他のルートからの流入量が減っていたため、水位は上がらなかった。

 土砂災害は、7日午後3時現在、熊本県44件、鹿児島県15件、宮崎県3件、福岡・佐賀・長崎の各県は2件ずつだった。

 厚生労働省によると、7日午後1時現在、熊本、福岡、鹿児島の3県で少なくとも22の医療機関で浸水や停電、断水などの被害が確認された。うち20カ所が熊本県に集中し、患者を別の施設に移すなどしたという。熊本県内では、入所者14人が死亡した球磨村の特別養護老人ホーム「千寿(せんじゅ)園」をはじめ、30の高齢者施設も浸水や断水の被害があった。

 交通機関にも大きな影響が出た。JR九州によると、大分県九重町の野上川にかかるJR久大線の鉄橋が流失した。鹿児島線、長崎線などの一部、九州新幹線の熊本―鹿児島中央間は終日運転を見合わせた。西日本鉄道は、天神大牟田線の西鉄柳川―大牟田間で終日運休した。高速道路では、長崎道の全線や九州道の一部など複数の区間で通行止めとなった。

 九州電力によると、7日午後7時現在、熊本、大分、鹿児島の3県で約4620戸が停電している。


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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