京アニ事件で責任痛感、消火ではなく「抑制」の製品開発

 東京の消火器メーカーが、ガソリンなどがまかれても惨事になることを防ぐ「火災抑制剤放射器」を開発した。ガソリンがまかれて火が燃え広がり、36人が亡くなった京都アニメーション放火殺人事件に心を痛めた経営者が指示した。警備やガソリンを扱う現場で導入が進んできている。

 日本ドライケミカル(本社・東京都北区)が昨年7月から発売を始めた。商品名は「クイックスプラッシャー」で、消火器の容器をベースにした。

火災抑制剤放射器「クイックスプラッシャー」について説明する遠山栄一社長=2021年7月14日、東京都北区、後藤泰良撮影

 2個のノズルから2・5リットルの薬剤を噴射する。約1・8秒で10平方メートルほどの範囲にまくことができるという。

 薬剤にはガソリンなどの気化を抑え込む成分が入っている。まかれた直後に噴射すれば、ほぼ火は付かないという。着火した場合も火勢を著しく弱め、煙も抑えられることから、避難路が見えなくなる事態を防ぐ効果も期待できる。

 社長の遠山栄一さん(71)が製品を開発する決意を固めたのは、京アニ事件が起きた2019年7月18日だった。「ガソリンなどの火災はスプリンクラーでは消せない。消火器メーカーが対処を考えないといけない問題だ」

 遠山さんは着火される前に対…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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