「○○通△△下ル」といった具合に、通りの名前が住所の特定に不可欠となっている京都市中心部で、複数の呼び名が混在している不思議な道路がある。ある地元の男性が是正を求めて声を上げ続けているのだが、表記が統一される見通しはない。なぜなのか。(高井里佳子)
その道路は、中京区の中京警察署あたりを北端として、世界遺産・東寺(南区)が面する九条通に届くまでの約2・7キロにわたり、南北に伸びている。
ある人は「壬生(みぶ)通」と呼び、ある人は「壬生川通」と認識している。平安京を行き交う人々には「壬生大路」と呼ばれた、由緒ある主要道路のことだ。
北から南へ、道沿いの道路標識を確かめてみた。
後院通や四条通、高辻通、五条通との交差点にあったのは「壬生川(通り)」の標識。
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七条通には「壬生(壬生川)」という並列表記の標識もあった。
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それが、下京区の梅小路公園やJRの線路を挟んだ先の八条通、九条通の交差点では「八条壬生」や「壬生通り」となり、川の字は見つからなかった。
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市中心部では、市民が住民票を登録する際、通りの名称を組み合わせて記載する決まりになっている。市の担当部署に聞くと、通りの名称には明確な基準はなく、壬生通も壬生川通も住宅地図などで根拠を示せば認められるという答えだった。
「元公務員として、(歴史を)調べもせんと許せない。歴史から研究せえと言いたい」
そう話すのは、問題の道路と七条通の交差点の近くに住む元公務員、古谷(ふるたに)孝造さん(89)だ。
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この交差点に1977年まであ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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