京都人の心理?八ッ橋の創業年、ライバル社の訴え退ける

 京都銘菓「八ッ橋」の老舗大手「井筒八ッ橋本舗」がライバル社の「聖護院八ッ橋総本店」に、創業を元禄2(1689)年とする表示の使用禁止や600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、京都地裁であった。久留島群一裁判長は、聖護院の創業を巡る表示について「消費者の行動を左右させる事情とは言えず、品質などを誤認させる表示にはあたらない」と判断し、請求を棄却した。

 裁判では、聖護院がのれんや看板などに「創業元禄二年」「since1689」と表示していることが、不正競争防止法が禁じる商品の品質などを誤認させる表示にあたるかどうかが争われた。

 判決は、聖護院の創業を巡る表示は「江戸時代に創業し、菓子の製造販売を始めたようであるとの認識をもたらす程度に過ぎない」とし、商品の品質などと結びついて消費者の行動を左右させる事情とは言えないと判断した。

 裁判で、井筒側は「(聖護院が)確実な根拠もなく伝承と異なる来歴を唱えている」とも訴えたが、久留島裁判長は「正当な根拠に基づかないとか、誤った説明で八ッ橋全体の信用性を失わせるとまでは認められない」として退けた。(向井光真)

京都の人にしかわからない裁判?

 判決を受けて、井筒側は京都市内で会見を開いた。津田佐兵衛グループオーナー(96)は「伝統のある店にとっては、創立年月日は非常に重要な信頼の根拠だ。法律で取り締まることになじまない問題は多い」と強調。代理人の折田泰宏弁護士は「この事件は京都の人にしかわからない部分がある。京都では菓子だけでなく、すべての業種で伝統を大事にしている」と話した。

 一方、聖護院の鈴鹿(すずか)且久(かつひさ)代表取締役は「当社の主張を全面的に受け入れていただき、適切に判断された結果だ。京都の発展のため、また、お客様に安心して商品を購入いただけるよう、全社一丸となって一層の努力を重ねる」とのコメントを出した。(向井光真、向井大輔)

裁判長は京都出身

 久留島(くるしま)群一(ぐん…

980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment