人口5500人の村「今を伝えるだけで十分映画に」 有志で魅力発信

 「はい、オッケーです!」

 5月17日、岩手県九戸村の公民館3階にあるホール。肩に映像用カメラを担いで撮影していた柴田清克監督(50)の声が響いた。

 役者たちは村の職員や村内にある寺の住職らで、全員素人だ。本番前には柴田監督がシナリオを片手に立ち位置や演技を指導した。

 緊張気味の面々に、「カメラは見ちゃダメ。あとは自然な感じでやってもらえればいいですから」。

 いま、村で自主製作映画「青春ドデン」の撮影が進んでいる。人口の減少が著しい九戸村と地元の県立伊保内高校の魅力を全国に発信しようと、村内の有志が九戸村映画製作委員会を立ち上げた。自然豊かな村を舞台にしたオリジナルの作品をつくろうとしている。

 「ドデン」という方言のタイトルの通り、びっくりするような本格的な映画が11月に公開される予定だ。

 戦国時代豊臣秀吉の天下統一に挑んだ武将、九戸政実(まさざね)が生まれたと伝えられる村。北上山系の最北端に位置し、面積約134平方キロの7割は山林原野が占める。人口は1980年に8496人あったが、約5500人まで減った。

 村内唯一の高校の県立伊保内高校も年々入学者が減り、現在の生徒数は約60人に。20人に満たない学年もあり、将来的には存続が危ぶまれている。

 村民たちは、深刻な過疎化が進む現状を打破しようと、村を広くPRし、将来的に移住定住、高校入学者の拡大につなげていきたいと考えた。その手段が、映画だった。しかも、本格的な作品づくりだった。

主人公、田舎暮らしに驚きながらも…

 伊保内高校ではこれまで、郷…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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