作物、家畜、人も「たまらん」 立秋酷暑(日本農業新聞)

 猛烈な暑さが続く日本列島。暦の上で秋となる「立秋」を迎えた8日も、群馬県伊勢崎市と前橋市で38・9度を観測するなど、最高気温が35度以上の猛暑日を各地で記録した。農家らは作物や家畜への影響を抑えようと懸命に対策を講じている。気象庁によると今後も気温が高い状態が続くため、作業者の健康管理にも厳重な注意が必要だ。

出穂期に…対策懸命 作期分散“黄信号”

 7月の低温から一転、梅雨明けと同時に高温が続き、東北の米産地に危機感が広がっている。

 平年より1日早い2日に出穂期を迎えた宮城県。平年では最低気温が20度のところ、今年は23度と上回る状況が続く。出穂期に夜温が高い状態が続くと白未熟粒が発生し、品質の低下につながる恐れがある。

 県は水管理での高温対策を緊急的にまとめ、ホームページ上で公開。「午前9時ごろに入水し深水管理を徹底、気温が水温を下回る午後4時ごろに落水するのが有効」(県米づくり推進本部)と呼び掛ける。

 村田町役場の担当者は「この高温が1週間続くと、用水の確保が難しい地域が出てくる。土壌を常に湿潤状態に保つことが重要。天気予報から目が離せない」と表情を曇らせる。

 「こんなに急激に天候が一転したことは過去にも記憶にない」と話すのは岩手県花巻市で150ヘクタールの水稲を手掛ける農事組合法人なべくらの高橋春雄代表だ。

 同法人は「ひとめぼれ」「どんぴしゃり」や、「ひとめぼれ」よりも10日ほど作期が遅い「つぶゆたか」など数品種をそろえ、作期をずらしていたが、暑さで出穂期が早まり、ほぼ同じになった。「米の品質と、刈り取り期の人手不足も心配だ」と懸念する。

欲落ち乳量減 摘果作業に遅れ

 札幌市で7日までの10日連続、最高気温が30度以上の真夏日を記録するなど、北海道では各地で異例の暑さが続く。乳牛への影響を懸念する声が出ている。

 遠軽町の林牧場を経営する林秀和代表は「連日、高温が続いて乳牛にも影響が出ている」と話す。

 牧場では、3台の搾乳ロボットを使い乳牛280頭(うち搾乳牛170頭)を飼育する。食欲が低下した影響で、乳量は10%ほど減少したという。乳牛がばて気味で繁殖や分娩(ぶんべん)、疾病などへの影響も心配する。

 牛舎には大型扇風機30台を設置してフル回転させるなど、暑さ対策に努めている。連日晴天が続き、雨不足で牛の飲み水に使う井戸の水位も下がり水の確保にも苦労している。飼料作物にも影響が出ているという。林代表は「雨が降って平年並みの暑さに戻ってほしい」と空を仰ぐ。

 西日本でも暑さに農家が悲鳴を上げている。ラッキョウの植え付けが終わった鳥取県。JA鳥取中央らっきょう生産部の山脇篤志さん(49)によると、猛暑で畑の土が熱く、水やりをしてもすぐに蒸発してしまい、根が張らず困っているという。「暑さが続けば、枯れてしまわないか心配だ。今はとにかく雨が降ってほしいのが正直な気持ち」と嘆く。

 かんきつの主産地、愛媛県では、夏場の重要な作業の摘果に遅れが出ている。産地JAによると、平年よりも遅かった梅雨明け後、日中の気温が35度を上回る日が続き、農家が園地で作業できていない。平年に比べ10日ほど遅れているという。

 JAの担当者は、「7月20日の園地調査では肥大に影響はないが、少雨と高温がこのまま続けば、収穫時期に小玉傾向になりかねない」と心配する。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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