信仰熱心な母、父の遺産はひとり占め 美輪明宏さんが語る「慈愛」

 父の死後の母親と兄について相談です。物心ついた頃から母が信仰に熱心になり、兄と私は毎週日曜日に教会へ行くようになりました。その影響もあり兄は大学卒業後、神学校へ行き、今は牧師です。

 母は兄の職業を崇拝しており、この2人の関係は昔から良好です。私は少し距離を置いていましたが、4年半前に父が認知症を発症してから母は父の財産の半分を自分の口座に移し、2年半前に父が死去した直後にも全額を引き出していたことが最近分かりました。

 私は父の遺産を一切相続しておらず、母は父の財産を私には渡したくないのでしょうか。実家に行くと母から「もう来ないで」と言われます。

 弁護士にも相談して法的な手続きは進めようと思いますが、その一方で母が一体何の許しを得てこのような行動を取るのか、真意がわかりません。昔から父は私をかわいがってくれていたのですが、それが原因なのでしょうか。

 宗教で人を分ける母と兄の価値観には疲れ切りました。このまま、父の財も家も分けてもらえず怒りと憎しみの感情を抱いて生きていかなければならないのでしょうか。

回答者 歌手・俳優、美輪明宏さん

 この相談には、いくつも問題があります。相談者がお父様からかわいがられていたことで、お母様からすると面白くない。さらには宗教が絡んでややこしくなっています。人は幸せを求めて宗教を信仰するものですが、現在のように宗教が違うというだけで戦争の要因にまでなります。

 法的なことや手続きについて弁護士さんに相談するのは大切です。ただ、たとえ裁判で遺産の相続が認められても、お母様は法に背いてでも渡さないという可能性もあります。相談者が宗教から「少し距離を置いてきた」というのも気に入らないのでしょう。「牧師にまでなった上の子と比べ、なんだあの女は」と思っているのかもしれません。パレスチナイスラエルのように、宗教が違えば「敵」と捉えられることもあります。「敵方に財産を分けてやるなんてとんでもない。もう娘じゃない」というところでしょうか。

 ここは弁護士さんへの相談と…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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