傷害事件で男性に無罪判決 被害者「供述はうそ」 岡山地裁倉敷支部

上山崎雅泰

 岡山県倉敷市内を走行中の自動車内で2021年7月、部下を殴って大けがを負わせたなどとして、傷害の罪に問われた同市内の塗装業の男性(32)に対し、岡山地裁倉敷支部(横沢慶太裁判官)は20日、無罪(求刑罰金30万円)を言い渡した。

 男性は21年7月26日朝、走行していた車内で男性部下を手の甲で殴り、眼底骨折の約3カ月の大けがを負わせたなどとして逮捕され、昨年5月に倉敷区検が在宅で略式起訴していた。

 男性は同月、倉敷簡裁から罰金30万円の略式命令を受けたが、正式裁判を申し立てた。簡裁での公判で男性は、それまで認めていた起訴内容について、否認に転じたという。そのため、事件は地裁倉敷支部に移送された。「逮捕され、早く身柄を解放されたかった」という理由で当初は認めていたという。

 公判では、被害者とされていた男性部下が出廷し「別の知人の男に暴行を受けた。男性に日頃から不満があり、うそをついた」という趣旨の証言をしたという。さらに、この別の男が暴行しているのを見たという目撃証言も存在。暴行したと指摘された男は、証人尋問に出廷するよう求められたが、現れなかったという。

 判決は、被害状況を説明した部下の供述と、自白していた男性の捜査段階の供述について、いずれも「信用できない」と否定した。ほかの証拠などからも男性による暴行を推認できない、とした。

 無罪判決を受け、男性は「無罪はうれしい。逮捕するならちゃんと証拠を集めてからにしてほしかった」。岡山地検の松本朗次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とのコメントを出した。(上山崎雅泰)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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