僕も私も、親に手を上げた 「壮絶な介護」救われた経験

 福井県敦賀市の住宅で90代の両親と息子(70)の遺体が見つかった事件で、息子の妻(71)が殺人容疑で逮捕されました。妻は周囲に「介護疲れ」を明かしていました。追い詰められた家族による事件を防ぐ手立てはないのでしょうか。介護経験者や支援者とともに、2回に分けて考えます。

 「介護している本人が、まずSOSの旗をふらないといけない。そうでないと、支援の手はさしのべられない」

 東京都墨田区の古賀節彦(ときひこ)さん(81)は、そう繰り返す。昨年夏に亡くなったアルツハイマー型認知症の妻を10年以上、自宅で介護した。今は区の介護相談員を務め、男性介護者と支援者の全国ネットワーク(男性介護ネット)の「語り部バンク」などでも経験を伝えている。

 古賀さんの介護生活の後半は夫婦互いに70代の「老老介護」だった。意思疎通も次第に難しくなった。トイレに入っているときなど古賀さんが目を離すと妻は玄関から外に出た。デイサービスでも外に飛び出してしまうことが増え、事実上利用を断られるように。妻を落ち着かせようと、早朝から一緒に外を散歩。夜は深夜も営業しているスーパーのなかを2人で巡った。

 ただ古賀さんは、長い在宅介護…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment