細菌の感染症で、「最終兵器」のような抗菌薬(抗生物質)すら効かない――。「悪夢の細菌」と海外で呼ばれる強力な耐性菌が国内にも忍び寄ってきていることが国の調査でわかった。海外で治療を受け、この耐性菌を持つようになった患者もいる。どのような経過をたどったのか? いまできることは?
国立国際医療研究センター病院(新宿区)は昨年、バングラデシュの作業現場で右足を骨折した日本人の60代男性を受け入れた。金属で骨を固定する手術を現地で受け、その部分が感染を起こしていた。
患部からは肺炎桿菌(かんきん)が検出された。大腸菌と同じ腸内細菌科の菌で、肺に入ると肺炎、血液に入ると菌血症といった重い感染症を起こす。重症なら、カルバペネムという強力な抗菌薬を使うが、検出された菌は、この薬を壊す酵素の耐性遺伝子を2種類も持っていた。
医師「心が折れる。そんな感じ」
この菌にどの抗菌薬が効くか。調べてみると、副作用の強いコリスチンぐらいしかなかった。カルバペネムなどと一緒に使ったが、症状は抑えられず外科医の判断で右足を切った。
「感染症の治療は、普通はきち…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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