児童虐待「介入大国」から予防へ 米国の転換に何を学ぶ

 米国の児童虐待対策は、どのようにして「予防重視」に行き着いたのか。日本が参考にできることは。40年以上にわたって虐待対策の評価・研究や政策立案に関わってきた、シカゴ大のデボラ・デーロ教授に聞いた。

 虐待対策には、魔法のような一つの特効薬など存在しません。それなのに、虐待死が報じられるたびに世間は胸を痛め、「リスクがあるなら子どもを保護しないと」と、親子を分離する「介入」に解決策を見いだしがちです。

 日本より約30年早く児童虐待防止法が成立した米国も、同様の空気が社会を支配し、「介入大国」の道を突き進んできました。でも米国は今、予防と早期の家族支援こそ重要で効果的、という教訓を得ています。

 具体的には、米国では1980年代までに、通報・調査・保護の態勢が整いました。でも、親元に帰れない子の中には、里親家庭を何十カ所も転々とする子もいることが問題になった。分離後も子どもの人生は続くという、当たり前で重い事実に気づいたのです。

 そこで90年代になると、予防…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment