入院待機者が自宅で死亡も 札幌の医療「ほぼ限界だ」

 札幌市は28日、新型コロナウイルスに感染し、宿泊療養施設への入所や医療機関への入院を待つなどしていた市内の40~70代の男性4人が、20~26日に自宅で死亡したと発表した。同市では16日、宿泊療養施設への入所を待っていた60代男性の死亡も判明している。札幌市では新規感染者数が高止まりし、コロナ病床はほぼ満杯ですぐに入院できない状態で、医療提供体制は危機的な状況だ。

 市によると、40代の男性が自宅療養中に死亡したほか、50代の男性は宿泊療養施設への入所が決まっていたが待機中に死亡した。60代と70代の男性は医療機関への入院を調整していた間に死亡した。いずれも自宅で20~26日に死亡が確認された。市は健康管理のため患者と毎日連絡をとっており、容体の悪化が分かったという。

 札幌市の秋元克広市長は28日の定例会見で、「医師が当初軽症と判断した人でも、症状が急変する人が出てきている」と述べた。単身者が急激に症状が悪化し、心肺停止の状況になるケースもあるという。

 市は自宅療養者の状況を把握するため、今月から訪問診療を始めたほか、血液中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターの療養者への配布を拡大。従来の40歳以上だけでなく若年層も含むすべてに配布できる体制を早急に整える。ただ、調達が困難な状況にあるという。

 北海道では連日400~500人の新規感染者数が続き、そのうち札幌市は連日300人前後と多くを占める。コロナ病床も逼迫(ひっぱく)が続く。市が確保した病床数は475床で、26日時点の入院患者数は421人と、ほぼ満杯の状況だ。入院できず待機している人は120人に上る。市は31日までに485床まで増やすが、秋元市長は「ほぼ限界だ。(コロナ以外の)他の手術も止めている状況で、他の助かる命も助からない」と語った。以前は入院が必要と判断されれば翌日には入院できていたが、現在は入院までに数日かかっているという。

 市は、医師が常駐して一時的に患者を受け入れる施設「入院待機ステーション」を17日に開設。当初6床でスタートし、今後病床数を増やす方針だ。(佐藤亜季)

市内の病院、患者受け入れ困難に

 札幌市内の病院では、コロナ患者の急増に病床確保が追いつかず、患者をすべて受け入れるのが困難な状況になっている。

 同市の基幹病院のひとつ、K…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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