冨永愛さん「ファッションが発信できることは、希望」

 ファッションや生き方は、コロナ下で変わりましたか? トップモデルの冨永愛さんと、DJや着物スタイリスト、モデルとして活躍するマドモアゼル・ユリアさんが、日本の伝統文化からファッションの未来まで語り合った。3月1日から開かれる2021年秋冬のパリ・ファッションウィーク(PFW=通称パリ・コレクション)で、朝日新聞は冨永さんを、日本におけるPFW公式アンバサダーとして迎えている。

 冨永 ユリアちゃんはパリ・コレに行き続けている。パリ・コレがデジタルでの発表になって、どのように感じていますか?

 ユリア 世界観がはっきりしているブランドは、映像でもそれがぶれず、逆にランウェーでできなかったことを表現していた。有名ではないブランドが、映像によって注目を浴びることもある。そういう新たな楽しみもあったけど、そろそろパリに行きたい。

 冨永 そうですね。やはり、現場の臨場感と緊張感を感じたい。幻想的な映像を作るなど、デジタルでも伝わるものがあって素晴らしいけど、リアルで見る感動のほうが身にしみる。

 ユリア パリ・コレ自体が一つのカルチャー。どういう形であれ続いてほしい。見せ方をどうするかはブランド次第なのかな。

 冨永 コロナで、私は服を着ることに対して、思いは変わったかもしれない。外に出る機会は減った。そのなかで、明日何を着ていこうか、って考えるのがより楽しくなった。

 ユリア 私は、「これを着てどこに行くんだろう?」という服をたくさん持っていて、それを着て行く場所はなくなった。ちょっとさみしい。でも、SNSの発信の場で、そういう服を着てみることはできる。

 冨永 マスクにも慣れた。

 ユリア 私、着物を結構着るけれど、不織布のマスクが着物に合わない。足袋屋さんとかみんなが布マスクを作り始めて助かった。

 冨永 着物、よく着てらして、素敵。

 ユリア 母と祖母が着付けをやっていて、身近だったけれど、日本の伝統文化を仲介する人になりたいなと思って着付けの教室もやっています。着物ってサステイナブル(持続可能)なこととつながっている。

 洋服は生地を曲線的に裁断するから余り布が出るけれど、着物は直線でぴったりに裁断するから余りが出ない。それに、昔は古着を着ている人がたくさんいたらしい。生地を無駄にせず、自分が着なくなったら子供に着せて、その次は雑巾にして……というサイクルができている社会だった。

 冨永 そう考えると、日本は昔からサステイナブルな精神があった。

 ユリア 昔の良いところを見直…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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