刑事ドラマはなぜ廃れない? 「110番」が起源、分岐点はあの作品

 警察を描いたドラマはテレビ番組の定番のひとつだ。首都の治安を担う警視庁が15日に創設150年を迎えるのを前に、警視庁を舞台とする刑事ドラマの歩みを振り返ると、時代を映した犯罪の傾向が見えてきた。

始まりは「110番」 主役は刑事ではなかった

 社会学者の太田省一さん(63)によると、刑事ドラマの起源は日本テレビの「ダイヤル110番」(1957年)だ。当時は、緊急通報の番号に110番が普及し始めた頃だった。

 内容は現在の刑事ドラマとは異なり、警視庁などから提供を受けた資料をベースに事件を再現したもの。「主役は刑事ではなく事件だった」と太田さんは話す。

 警察官が主人公の物語は、その4年後に始まった二つのドラマが元祖だ。一つはテレビ朝日(当時はNETテレビ)の「特別機動捜査隊」。自家用車の普及で犯人が車で広域に逃走するようになり、迅速な初動捜査を担う部隊がテーマとなった。警視庁では翌年、「機動捜査隊」が組織された。

 車によるアクションなど派手な演出が売りのこのドラマとは対極に、「七人の刑事」(TBS)は犯人の生い立ちを描くなど人情味が強い内容だった。「取調室の場面が見どころで、犯人にも事情があるという見せ方をしていた」(太田さん)

アクションと人情 両方取り入れた「太陽にほえろ!

 72年、アクションと人情味の両方を取り入れた「太陽にほえろ!」(日テレ)が始まる。犯人を拳銃で撃つことをためらうなど、迷いながら成長する刑事の姿が描かれた。

 爆弾を使ったテロ事件を取り上げた「特捜最前線」(77年、テレ朝)もアクションと人情味を扱う内容だ。当時は過激派による企業爆破事件が起きるなど、爆弾を使った事件が世間の注目を集めていた。

 70年代後半から80年代にかけ、2人組の刑事を描く「バディ」ものが登場し、ジャンルは多様化していく。

「警察ドラマ」の分岐点 新しい形の犯罪も

 太田さんが刑事ドラマの分岐…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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